ソニー、Xperia 1 VIIでαやブラビアの技術を結集するも、市場シェア低下と高価格化で苦境。“美しい負け方”に徹するか

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音響では、業界の潮流に逆らい3.5mmオーディオジャックを搭載。「ウォークマンで実績のある高品質部品を使用し、オーディオジャックのはんだ付け部に金を添加」するなど、見えない部分にまでこだわりが及ぶ。ソニーミュージックと共同開発した「DSEE Ultimate」技術は、膨大な音源ライブラリをAIが学習し、圧縮音源をハイレゾ相当に引き上げる。

音質改善
オーディオ端子には金メッキのはんだを用いて音質を改善した(筆者撮影)

処理能力も最新のSnapdragon 8 Elite Mobile Platformを搭載し、大容量5000mAhバッテリーで「1度の充電で2日間使用可能」「連続動画再生時間は36時間」という持久力も備える。

これらの技術を統合するブランドとして打ち出されたのが「Xperia Intelligence」というAI技術だ。「ソニーが保有する豊富なコンテンツ資産から学習したAI技術をXperia向けに最適化」し、オーディオビジュアル体験と画像生成を向上させる。

しかし、これほどの技術結集にもかかわらず、厳しい市場の現実が待ち受けている。

高価格と狭まる市場ポジション

最新のXperia 1 VIIのSIMフリーモデルは20万円台前半、キャリアモデルでは最大24万円を超える価格設定だ。これはGoogleのフラッグシップ「Pixel 9 Pro」(16.9万円〜)と比較しても3万〜7万円高い。

IDC Japanのアナリスト井辺将史氏はこの高価格戦略に疑問を呈する。

「価格設定が非常に高い。同価格帯ではサムスンのGalaxy Sシリーズの上位モデルも選択肢になります。あえてソニーを選ぶ消費者がどれだけいるでしょうか」(井辺氏)

市場での競争環境も厳しさを増している。井辺氏によれば「2023年頃からGoogleが日本市場への攻勢を強め、結果的にGoogleが奪ったシェアの多くはソニーからのものでした」。

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