売上高はついにキー局4位に転落!フジテレビがSBI北尾氏の取締役就任を「受け入れるべき」2つの理由
フジテレビが失った収入はどこへ行ったか、気になるところだ。3月の他局のスポット収入を前年同月比で見ると、日本テレビは8.6%増、テレビ朝日は11.2%増、TBSテレビが1.5%増、テレビ東京が8.0%増と軒並み増加している。
3月のスポット枠は1月にはほぼ埋まっているから影響は薄いと言われていたが、実際にはフジテレビから他局に回ったといえそうだ。結果的に、視聴率当たりの単価を押し上げた可能性が高い。他局にとって経済的にいい効果をもたらしたかもしれない。
ただ、2024年度の放送収入全体は5局合わせて7569億円だった。2023年度の7623億円から0.7%下がっている。2024年度はコロナ禍以降ぐんぐん下がっていた視聴率が下げ止まりつつあるせいか、放送収入はフジ以外の4局はいずれも数%増えていた。それなのに全体で下がったことは、フジの減少幅の大きさを示している。
各局の決算で気になるのが配信広告収入、主に民放公式テレビ配信サービス「TVer」での広告収入だ。2024年12月には月間再生数が5億回弱に達し、国民的メディアとして根づいたTVerは各局にどの程度の売り上げをもたらしたのか。
日本テレビは105億円で前期比53.4%増、テレビ朝日は85億円で同46.3%増、TBSテレビは120億円で同46.2%増だった。放送収入に対する比率は、日本テレビとテレビ朝日が5%弱、TBSテレビは7%を超えた。配信広告収入は微々たるものと言われてきたが、放送局のビジネスの伸び代は今やそこにある。
ちなみに、フジテレビは84億円で同6.9%増にとどまった。ここにも一連の事案の影響が出ている。
フジがダルトン案を突っぱねた背景事情
このような壊滅的な決算と同時にフジ・メディアHDが発表したのが、新たな取締役案だ。
これまでの流れを整理すると、3月27日に旧取締役陣が清水賢治社長と金光修会長、一部の社外取締役以外、一斉に退任し、新たな社内取締役と社外取締役が6月に新たに就くことを発表した。一方、大株主のダルトン・インベストメンツが4月16日に12人の取締役を提案し、翌17日にその中の1人であるSBIHDの北尾氏が会見を開いた。
北尾氏はフジテレビ改革案を提示し、敵対するなら自身も株主になり徹底的に戦うと宣言。ただ、その改革案は20年前から言われていることで新鮮味に欠けた。
これに対し、金光氏は敵対しないと発言し、服従の意思を示したかに見えた。実際、4月30日には金光氏と元々の社外取締役3人が6月に退任すると発表。北尾氏らを新取締役として受け入れるのではないかと思われた。
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