中国は、4月にGDP成長率が8%台前半で物価が落ち着けば、景気刺激策も
中国は全国人民代表大会で2012年度の成長率目標を従来の8%から7.5%に引き下げた。12年度前半の中国経済の見通しと政策の行方を、みずほコーポレート銀行(中国)有限公司・細川美穂子主任研究員に聞いた。
--温家宝首相は全国人民代表大会(全人代)で2012年の成長率目標を7.5%と従来の8%よりも下げて設定しました。全人代で示された12年の政府活動報告をどう評価しますか。
実質的には昨年12月の共産党の中央経済工作会議で、路線が決められるので、全人代での議論は初めて出てきた内容ではない。GDP成長率についても、11年3月に公表された第12次(11~15年)5カ年計画では7.0%と、第11次(06~10年)の7.5%からに引き下げられていることから、12年の予測目標も今までより下がると見られていた。
欧州の債務危機による輸出への影響もあるが、中国政府には自らスピードを調整するという意思があり、国内でも「経済発展方式の転換や構造調整」を進める中で、むやみに高い経済成長を追及しないという姿勢だ。
良い点は学者、企業家、党内外のいろんな意見を集めて集中的に議論する点だ。欧州債務危機の影響や人口動態の変化により労働力不足になることなど条件の変化を踏まえて分析した結果、目標を下げるという冷静な運営を行っている。
--今後のマクロ経済政策をどう見ますか。
「経済発展方式の転換や構造調整」にどの程度堪えられるのか、ちょうど良いバランスの成長率はどのくらいなのかが問題となる。昨年春頃から、浙江省や広東省で中小企業の倒産が起きており、これに伴う雇用調整が続く。将来的に人口が減るといっても、足元の雇用吸収圧力は残る。