中国は、4月にGDP成長率が8%台前半で物価が落ち着けば、景気刺激策も

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景況感の悪化がはっきりしてくれば、社会の安定維持のためにも金融や財政の緩和策を打ってくるだろう。一方で、物価も落ち着きつつあるとはいえまだ高い。1、2月のCPI(消費者物価指数)は旧正月の影響でぶれる傾向があるが、1~2月の平均では目標の4%を下回る3%台になった。3月の数値を見て、4月中旬に出る1~3月期のGDP成長率が減速し、物価が落ち着いていれば、より景気刺激的な政策がとられる可能性はある。
 
 ただ、原油価格が上がってきているので、輸入インフレは警戒しており、天候不順の影響による野菜価格上昇、人的コスト上昇の要因と相まってCPIが上がる要因も残存している。

1~3月期のGDPは8%台を維持すると思われる。貿易統計は1月を見る限り、輸出合計が▲16.5%となる中で欧州向けは▲3.2%の減少にとどまり、意外に健闘している。輸出品目は生活必需品が主体で、影響を受けにくいと考えられる。

--経済運営の面での注目点は。

不動産価格は10年の春をピークに下がっているが、まだ一般の人が買える水準になっていない。不動産業者や土地の使用権売買でファイナンスを行っている地方政府などは不動産投機抑制政策をやめてほしいと要求しているが、中・低所得者に配慮した行政指導が続けられると見られる。
 
 ただ、バブル崩壊につながるような大幅な価格下落が見られれば緩和されるだろう。広東省の烏坎で問題になったように、農民の土地が不動産開発のために売却されてしまうといった問題が後を絶たない。土地の私有化を行うべきだという主張も出てきている。イデオロギーの面から難しいが、中国国内メディアも特集するなど議論はされている。

07~08年の世界の金融危機で景気刺激策をとらざるを得なかったことで構造改革はさらに遅れた。経済成長の活力はあるが、資金の偏在(銀行貸出が大型国有企業に優先されがち)、資本市場は整備途上、技術革新による産業競争力やブランド力強化が求められる中、消費者が自国ブランドに信頼感をもてないなど、今後の改革余地は非常に大きい。
(聞き手:大崎明子 =東洋経済オンライン)

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