想定外!フィリピン中間選挙で事前予想を覆してドゥテルテ派が躍進、厳しさ増すマルコス大統領の政権運営

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2025年5月12日に実施された、フィリピンの中間選挙のチラシ(写真・Ezra Acayan/Getty Images)

2025年5月12日に投票されたフィリピンの中間選挙で、ボンボン・マルコス政権と対立するドゥテルテ前大統領陣営の候補らが事前予想を大きく上回る躍進をみせた。

国際刑事裁判所(ICC)に拘束されている前大統領自身が地元ミンダナオ島ダバオ市長選で圧勝したのをはじめ、焦点の上院選(改選12議席)では、2議席が限度とみられていたドゥテルテ派が5議席を確保した。3年後の次期大統領選へ向け、レームダック化に抗うマルコス派と政権復帰を狙うドゥテルテ派の攻防が今後激化するのは間違いない。

上院は反マルコス派が多数に

中間選挙は正副大統領を除く、すべての下院議員や州知事ら首長、地方議員など約1万8000のポストを一斉に選ぶ。

定数24の半数を改選する上院選は全国1区で争われ、次期大統領の有力候補らが競うことから毎回耳目を集めるが、今回は前大統領の長女であるサラ・ドゥテルテ副大統領が下院で弾劾訴追され、上院議員が弾劾裁判の裁判官を務めるため、今後の政局を占ううえでも注目度が増していた。

上院選の開票速報では5月14日午後、開票率97%の段階で、前大統領の側近中の側近であるボン・ゴー上院議員がトップを独走している。ただ1人2600万票を超え、2位以下を500万票以上引き離している。

3位は前政権下で国家警察長官を務め、「麻薬撲滅戦争」の指揮を執ったロナルド・デラロサ上院議員だ。前大統領に続いて、ICCから「人道に対する罪」で逮捕状が出るとみられている。前大統領逮捕の前の情勢調査では当選圏外だった。

驚きは6位のマルコレタ・ロダンテ下院議員。バリバリのドゥテルテ派議員だが、投票直前の各種情勢調査でも当選圏内にほとんど名前は出ていなかった。

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