想定外!フィリピン中間選挙で事前予想を覆してドゥテルテ派が躍進、厳しさ増すマルコス大統領の政権運営
さらにマルコス陣営の与党連合を離脱し、サラ氏の推薦を受けたカミール・ビリヤール下院議員が10位、やはり政権に反旗を翻した大統領の姉のアイミー・マルコス上院議員は12位で当選に滑りこんだ。
フィリピンでは4〜5つの民間世論調査機関が選挙の情勢調査を発表しているが、直前の調査では、押しなべてマルコス派の与党連合が8、9議席を獲得すると予想していた。
ところがふたを開けると与党連合はドゥテルテ派と同数の5議席にとどまった。しかも事前予想より軒並み順位を下げている。
残る2議席はノイノイ・アキノ元大統領のいとこのバム・アキノ元上院議員が2位につけ、キコ・パギリナン元副大統領候補が5位だった。いずれもマルコス・ドゥテルテの両派に属さないリベラル派。事前予想では当選確率は極めて低かったが、上位当選を果たした。
地元ダバオはドゥテルテ家の寡占
結果をまとめると、マルコス派の5議席に対し反対派は7議席。事前予想との落差の大きさに、私のアタマには「現政権と対立する某国が何らかの形で電子投票システムに介入したのではないか」との臆測さえ浮かぶほどだった。
ダバオでは前大統領が市長選に圧勝しただけではなく、前大統領の次男で現市長のセバスチャン氏も副市長に大差で当選した。拘束されている父に代わり今後の市政を担う。
地元選挙区から下院議員選に立った長男のパオロ氏は投票日の直前、女性の紹介を依頼した知人に暴力をふるう動画が拡散され、刑事告訴も受け付けられたが、やはり圧勝した。隣の下院選挙区ではパオロ氏の息子、前大統領の孫が初当選を果たした。
ドゥテルテ陣営圧勝の背景には、2025年3月11日に香港から帰国したマニラ国際空港で逮捕され、その日のうちにICCの本拠であるオランダ・ハーグに移送された前大統領への同情があることは、それ以降のドゥテルテ派候補者の票の伸びを見れば明らかだ。下院比例区でもドゥテルテの名前を冠した政党が上位に進出した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら