想定外!フィリピン中間選挙で事前予想を覆してドゥテルテ派が躍進、厳しさ増すマルコス大統領の政権運営
大統領任期の折り返し点で実施される中間選挙は、政権の前半3年間の業績に対する国民の審判でもある。
今回の選挙ではドゥテルテ派に加え、マルコス陣営の権威主義的傾向や歴史修正に異を唱えるリベラル派が上院だけではく、下院比例区でも躍進した。前大統領の逮捕以来、マルコス氏への支持率が急降下していることもあり、今後、綱渡りの政権運営を強いられることが予想される。
戒厳令? 暗殺? 窮地のマルコス陣営
当面の焦点は、次期大統領選に出馬する意向を示し、最有力候補とされるサラ氏の弾劾裁判の行方だ。ここで有罪となれば、副大統領職を罷免されるだけではなく、公職から永久追放され、大統領選への立候補もできなくなる。
上院議員の3分の2が賛成すれば可決される。逆に言えばサラ氏が弾劾を回避するには9票を得ればよい。今回の選挙で5票をまず確保した。非改選の12人はドゥテルテ支持を明言する俳優のロビン・パディリア氏以外は旗色を鮮明にしていない。
それでも前大統領の副大統領候補として選挙戦を戦ったアラン・カエタノ議員に加え、姉のピア氏も今回上院で当選した。サラ氏の応援を受けて今回当選したカミール・ビリヤール氏の兄も非改選議員だ。
今後両派の綱引きは激しくなるが、今回の選挙結果を受け、サラ氏が切り抜ける可能性は高くなったようにみえる。選挙戦を通じてドゥテルテ支持者のパワー、集票力を目の当たりにした上院議員らが次の選挙を考えれば、弾劾に賛成票を投じるのは容易ではない。棄権が相次ぐのではと予測する。
サラ氏の弾劾訴追、前大統領の逮捕・移送と攻勢を強めてきたマルコス陣営だが、中間選挙を境に劣勢に追い込まれる可能性が高い。
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