モーターの介入によって加速がするどく、スポーツモードで走るのも痛快で、電子技術を使ってうまく二面性を引き出せているところが、クラウン エステートRZの特長だと感じた。

「以前は、操安性と乗り心地は相反する関係にあると考えられていました。『楽しさを追求すると快適性が犠牲になる』というのが“常識”でしたが、シャシー設計技術が上がって、サスペンション開発チームとの協業により操安性と乗り心地を両立させることが可能になりました」と、先のサスペンション開発担当者。
その人によると、2000年代中頃から目に見えて成果が出始めたという。私が覚えているのは、2016年から2023年にかけて作られていたSUVの「C-HR」だ。初めて乗ったとき、「これはいい」と思ったことを記憶している。

C-HRについては開発チームも意気揚々と、「初めてまっすぐ走るトヨタ車ができました」なんて語ってくれたものだ。C-HRにも使った「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」は、前年の2015年に発表した第4世代「プリウス」が初採用だが、新しいモデルが出るたびに、大きな進化が感じられた。
クラウン エステートはTNGAの「GA-K」プラットフォームを採用し、うまく先述のDRSやAVSと組み合わせることによって、従来とは一線を画した、乗り味が作り出されている。
エステートの名を体現するラゲッジルーム
クラウン エステートは、あえて荷室を大きく見せようとしないスタイリングをしているけれど、実際の荷室容量は570リッターも確保されている。9.5インチゴルフバッグが3個、81cmスーツケースを2個積める広さだという。

また、後席背面クッションを前に倒した際、平面な床を実現するための「ラゲッジルーム拡張ボード」なる装備も用意されていて、前後長2mのフルフラットフロアが実現する。
六本木で一般向けに車両が公開されたとき、「(発売が遅れた)エステートを待って、4つのボディタイプからどれを選ぶかを決めたい」という来場者もいたと聞いた。

段差をふわっと乗りこえるような乗り心地ではセダンが一番だろうが、先述のとおり、走りの気持ちよさではエステートに軍配を上げたい。
クラウン エステートの価格は、HEVのZが635万円、PHEVのRSSが810万円だ。
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