「高級ホテル静養」「減税断念」に批判続出でも石破首相の表情に《余裕》と《自信》がにじむ摩訶不思議の"深層"

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そうした中、石破首相は一時意欲を示した消費税減税について、連休中の自民党幹部らとの協議の結果、「いわゆる『減税』の実施は断念した」(自民党幹部)もようだ。

連休前の時点では、石破首相は「減税」について周辺に「政権を失うことを考えたら安いもんだ」と漏らしていたとされる。しかし、連休中には外遊先での記者会見など「税率の引き下げということは適当ではない」と否定した。

これについて、自民党内では「自民党税制調査会とタッグを組む森山幹事長が『減税はダメ』と強く要求したことが原因」(税調幹部)との受け止めが大勢だ。「森山氏を敵に回せば、政権維持は困難という実情を踏まえた判断」(同)というわけだ。

さらに、「石破首相の減税否定の裏には、立憲・野田代表の“変節”がある」との指摘もある。

首相在任時に消費税率の引き上げを主導した野田氏は、以前から「減税はある種のポピュリズム」などと、野党各党が掲げる減税案に否定的見解を繰り返してきた。その野田氏が党内の多数を占める減税派に妥協する形で「時限的な措置として食料品ゼロ%へと消費税を減税する」と方針転換したことが、同党に対する批判につながっている。

「石破続投説」は定着するのか

石破首相は外遊から帰国した後、メディアの取材などに対して「消費税を下げたら党が割れかねない」と危機感を隠さない。参院選対策についても「減税よりも、ガソリン値下げやコメの高値の解消が最優先」などと語っている。

こうした石破首相の判断は「国難には毅然として対応し、人気取りよりもトップリーダーとしての決意と見識をアピールすることこそが、国民の信頼につながるとの考え方にたどり着いた結果」(自民党長老)とみられている。

ただ、政権維持への“前提条件”ともなる内閣支持率は「『微増』が『大幅上昇』に変わる可能性は低い」との見方が多い。このため「政局的には“石破続投”が唯一の選択肢だが、自民党内でも『このまま石破政権を続けるのは自殺行為』との声も少なくない」(政治ジャーナリスト)という。

現在の「石破続投説」がどこまで定着するかは依然として不透明だ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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