「高級ホテル静養」「減税断念」に批判続出でも石破首相の表情に《余裕》と《自信》がにじむ摩訶不思議の"深層"

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不信任案について最終判断を下す立場となる立憲民主党の野田佳彦代表は、メディアとの質疑や番組出演で「総合的判断が必要」と繰り返している。その理由について、野田氏は①アメリカとの関税交渉の展開次第だが、国難への対応中なら不信任で内閣の足を引っ張ることはできない、②他野党は出せというが、出したら必ず賛成するかどうかが不透明、などとしている。

政界関係者には「総合的判断というのは、結局、不信任案の提出を見送るサイン」との見方が広がる。次期参院選での躍進が予想される国民民主党の玉木雄一郎代表は「今回はもし野党がまとまれば(不信任案が)通り、そうなると憲法の規定上、内閣総辞職か解散総選挙ということになる。そのときに野党としてどうするのかを野党第1党がしっかり各党に示すべきだ」と注文をつける。それでも、野田氏は明言を避けている。

首相の自信、理由はほかにも…

石破首相の余裕と自信の裏側には、こうした野田代表の消極姿勢があるが、それだけではない。連休中の次期参議院選挙をめぐる各種の情勢調査で「与党が過半数を維持する可能性が大きい」との分析が多かったことに加えて、各種世論調査の多くで内閣支持率は微増となり、支持率低下による政権危機が遠のきつつあるのだ。

もちろん、自民党にとって「政治とカネ」問題による逆風は依然として強く、多くの調査で次期参院選での予想獲得議席は改選数を大幅に下回っている。だが、非改選と合わせた総議席数では、少なくとも与党が過半数を数議席上回るとの予測が多い。

自民党内で実質的な最高実力者である森山裕幹事長は「続投支持」の意向を固め、高市早苗・元経済安全保障担当相を筆頭とする反石破勢力の動きも沈静化しつつある。その背景には、「少数与党となっている衆議院で野党が結束すれば、首相退陣後の自民党の新総裁は後継首相にはなれない」(自民党長老)との予測がある。

加えて、「トランプ関税」に関する日米交渉の決着が参院選後となる可能性があり、「その場合、野党も国益優先で政局の混乱は避ける」(立憲民主党幹部)とみられる。ここに来て石破首相が「交渉はゆっくり急ぐ」「せいては事を仕損じる」などの微妙な表現を繰り返すのも、「そうした状況を意識した言動」(閣僚経験者)とみる向きが少なくない。

一方で、今国会での石破政権の難問とされる「企業・団体献金」「夫婦別姓」の両問題は、野党側の足並みの乱れによって「決着が先送りとなる公算」(自民党幹部)が強まっている。

このため「次期参院選で与党が過半数を維持すれば、政治的選択肢は石破政権の続投」(政治ジャーナリスト)ということになり、それが「石破首相の自信と余裕につながっている」(同)のだ。

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