様変わりした「渋谷の駅と街」昭和・平成の記憶 地上の東横線、ビルから飛び出すオレンジの銀座線
打ち合わせで出版社へ行ったり、銀座のカメラ店に行ったりと、筆者が最もよく利用したのは地下鉄銀座線だ。まだアルミ車体の01系が登場する前で、主力は昭和30年代に製造された2000形だったが、戦前生まれでリベットの目立つ車体の1200形もまだ編成の中間に連結されて走っており興味を引いた。
当時の銀座線車両の「名物」といえば、ポイントを通過する際に車内の照明が消えることだった。第三軌条の切れ目に差しかかるためで、かつての利用者なら記憶にある人も多いだろう。

銀座線渋谷駅の記憶
銀座線の渋谷駅は2020年に明治通りをまたぐ位置に移動したが、それまでは開業以来東急百貨店東横店のビル3階にあった。渋谷に到着する直前、青山方面からのトンネルを抜けるとぱっと視界が開け、渋谷の街を見下ろす高さとなって駅に進入する。


駅の移転直前は「渋谷ヒカリエ」などが建って景色が一変していたが、昔はややごみごみした街並みが見え、それが渋谷らしい雰囲気だった。この銀座線のトンネル出口はかつての東急文化会館の非常階段からよく見え、筆者は何度もここに入れてもらって取材した。渋谷で一番思い出深い鉄道スポットといえる場所だ。
旧駅の時代は、到着した電車はいったん車庫に入って折り返していた。短い警笛を鳴らして車庫から発車ホームに入ってくる様子なども面白く、国鉄(当時)山手線よりも乗って楽しい路線だった。
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