一方で、免許を取る過程で「このまま自分が先生になっても普通の授業しかできない」と感じ、田中さんは専門性を身につけたいと思うようになります。
哲学科や英文科など、さまざまな大学院も検討したそうですが、決めきれず、「大学院に行くにしても、もっと大学の学部で勉強をしなければ、希望を絞れない」と痛感していました。そこで再び選択肢として浮上したのが、東大の文科3類だったのです。
「学部から行き直して、幅広く学んだうえで、自分の専攻を哲学なのか、歴史なのか、倫理や英文学なのか、などと決めるには、教養学部で幅広い学問に触れて、文学部にも進める東大の文科3類がいいと思いました。そうすればずっと未練があった東大への思いにケリがつくし、教員になるための箔もつくと思い、再受験を決めました」
実に10年ぶりの試験を受けることを決めた田中さんは、塾講師のアルバイトや教職課程を受講しながらの生活だったために、効率的に勉強する必要性を感じます。そこで、スタディサプリを使用し、英語・数学・国語・社会など幅広い科目の授業を受けました。
「朝の9時〜14時までは毎日受験勉強に使おうと思っていました。ですが、6〜8月は教職課程の試験や授業が集中していましたし、その後も教育実習や仕事の繁忙期もあり、途中はあまり勉強できる時間はありませんでしたね。11月に受けた駿台の東大実戦模試でもD判定でしたし、1月に入っても共通テストの過去問の数学1+Aで30点くらいしか取れなかったので、合格はなかなか難しいなと思いました」
時間が限られている中で、苦手科目の挽回が厳しいと気づいた田中さんは、思い切って社会や理科基礎など、伸ばしやすい得意科目を重点的に対策する戦略に切り替えます。
ついにリベンジを果たす
そのかいあってか、共通テストでは数学1+Aも67点で、全体の点数では1000点中884点という及第点の点数を取ることができました。
2次試験では手応えがなかったものの、合格最低点を12点上回り合格。こうして10年ぶりの受験でリベンジした田中さんは、中学生からの夢であった、東京大学の文科3類に入学することができました。

「試験当日の手ごたえ的に目標点数に大きく届かなかったので、絶対に落ちたと思って、合格したのがまったく信じられませんでした。ウェブの掲示板を見ても何かの間違いだと思いましたし、わけがわかりませんでした。嬉しくなったのは、無事に家に書類が届いた翌日以降です」
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