ところが、センター試験が終わってから2次試験までの1カ月間、彼は燃え尽き症候群に陥ってしまいました。
「サボっていたわけではないのですが、東大は記述試験が多いので、どうやって勉強していいかわからず、対策がおろそかになりました。記述問題の採点もどう採点したらいいかわからないのもつらかったですね。結局、なんとなく赤本を解いて勉強するしかない状態で2次試験を迎えたのですが、文科2類を受けて落ちてしまいました」
2浪は考えていなかったことと、受験勉強をやり切った感覚もあり、併願で合格していた早慶の文系学部に進学して、大学の勉強に専念することを決めた田中さん。体育会系の部活に入ってからは週6〜7回の活動にハマり、充実した大学生活を送っていました。
まさかの結果に愕然とする
しかし、入学して1カ月してから、田中さんの人生に未練を残す出来事が起こります。
5月の頭に、東大の得点開示が田中さんの家に届き、その結果を見て愕然としたそうです。
「合格最低点から2点差で落ちていました。文科3類に出願していたらプラス5点で合格していたこともあったので、悔しかったですね。
しばらく東大を諦められなかった理由は2つあります。1つ目は、高校3年間の授業が適当だったから、それがなかったら全然点数は届いていたと思ってしまったこと。2つ目は、本番の数学の試験で問題を読み間違えて10点単位で落としたことでした。その2つの理由から、大きな未練が残りました」
一方で、大学の友達付き合いや、部活が楽しかったこともあり、この当時の田中さんは再受験することは考えませんでした。
結局、部活に熱中する4年間を送り、2019年に卒業した後は大手企業に就職しました。
その後の田中さんは、仕事がきつく、人間関係がうまくいかなかったこともあり、3年経たずに退社します。退社後は、さまざまな仕事を検討しますが、空白期間に始めた学習塾でのアルバイトがとても楽しかったことで、「自分がやりたいことはこれだ」と気づいたそうです。
その過程で教員になろうと思った彼は、通信制大学で教員免許取得のための勉強を始めました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら