ユニクロが震災復興めざし、NGOに3億円支援、被災地に3店舗を出店
衣料専門店のユニクロは2月28日に、東日本大震災の復興支援として、NGOへの資金提供と被災地への仮設店舗出店・一時閉鎖店の営業再開を発表した。NGOへの資金支援で被災者の経済的自立を促すほか、ユニクロ3店の営業を開始し被災者ニーズへ対応する。
支援金はNGO5団体へ、1団体あたり年間2000万円をメドとし3年間で合計3億円を提供する。資金は2012年3月のユニクロ全店の売り上げの一部を充当するほか、3月から3カ月にわたり店頭募金も行い、来店客からの支援金も受け付ける。支援金はNGOを通じ、被災者の就職活動支援や地域産業の立ち上げなどに活用される予定だ。
また被災地で、これまで店舗がなかった宮城県気仙沼市と岩手県釜石市に1店ずつ、仮設店舗の出店も決定した。それぞれ3月9日に開店し、1年間営業を行う。福島第一原発事故の影響で、被災店舗で唯一、営業の再開が遅れていた福島県南相馬市の原町店も9日に営業を再開する。
ユニクロを擁するファーストリテイリングの柳井正代表取締役会長兼社長は記者会見で、「復興はうまくいっていない。政府、行政は有効ではない」と指摘。被災者には、「最低限」ではなく「普通」の生活ができることが大切とし、資金援助にとどまらず経済的自立を促す被災地での起業等、産業を興す必要があるとの考えを示した。
今回のNGO5団体を選んだのも、自立支援や雇用創出を促す「道先案内人となる存在」(同会長)と判断したためだ。また、被災地への出店については、「結果的にユニクロのブランディングにつながるかもしれないが、それより、ユニクロの商品を求めている方がいるなら、出店はわれわれにとっても被災者の方にとってもよい」(同会長)とその狙いを述べた。
ファーストリテイリングは、東日本大震災の発生後、支援金のほか「ヒートテック」などの衣料品提供など、総額約33億円の支援を実施してきた。加えて、柳井正氏の個人として10億円の寄付を行うなど、支援活動へ積極姿勢を示してきた。
震災から1年が経ち、支援ムードが薄らぐ中での今回の復興支援の発表で、各方面から支援の動きが再び加速することが期待される。
(鈴木良英 =東洋経済オンライン)
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