デヴィ夫人(85)「暴行容疑」で窮地、過去の暴力事件と偏った思想…それでも重宝された「毒舌キャラ」の代償

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また、思想的にも偏っているところがあり、これまでに数多くの問題発言をしている。たとえば、2020年放送のテレビ番組内で彼女は「不妊になるのは堕胎が原因です」と発言して大炎上した。

また、元TOKIOの山口達也氏が女子高生への強制わいせつ事件を起こした際には、自身のブログで「たかがキス位で無期限謹慎なんて厳しすぎ、騒ぎすぎでしょう!」と加害者を擁護するようなことを書いた(現在はブログ記事は削除されている)。

それ以外でも、ジャニー喜多川氏の性加害が問題になったときにはSNSで「死人に鞭打ちではないか。本当に嫌な思いをしたのなら、その時なぜすぐに訴えない」と書き込んだ。これら以外でも、性加害事件に関して加害者寄りの意見をたびたび発信してきた。

テレビが社会の公器である以上、普通のテレビタレントは一定の道理をわきまえているものだが、デヴィ夫人はそこからはみ出す問題発言を繰り返してきた。それでも、テレビ業界は今までずっと彼女を使い続けてきた。

テレビ側は毒舌タレントとして利用した側面も

ある意味では、テレビ側が彼女を「何でも言ってくれる毒舌タレント」として都合よく利用してきたという部分もあるのだろう。大手事務所に所属しているまともなタレントであれば、世の中を刺激するような羽目を外す発言はなかなかしてくれない。

でも、デヴィ夫人はそういうことを平気で言って場を盛り上げてくれるし、そのことで批判されることも少ない。高貴な雰囲気をまとった高齢の女性だったからこそ、彼女は真正面から厳しい批判にさらされることもなかった。メディアも視聴者もそんな彼女のことを無責任に面白がっていたところもあったのではないか。

今回また事件を起こしてしまったことで、デヴィ夫人という人間の危うい部分があらわになった。今後どういう事態を迎えるのかはわからないが、タレントとして厳しい状況に追い込まれたのは間違いない。これまでの人生で数々の苦難を乗り越えてきた彼女は、ここからどうやって這い上がっていくのだろうか。

ラリー遠田 作家・ライター、お笑い評論家

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らりーとおだ / Larry Tooda

主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材、コメント提供、講演、イベント企画・出演などを手がける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)など著書多数。

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