萩生田光一「"与党ボケ"の価値観を振りかざすのはどうか」場当たり対応の少数与党・自民党は参院選をどう戦うべきか
――石破茂総理の政権運営について伺います。野党の主張する教育無償化や103万円の壁の引き上げなどに対して、場当たり的な対応が目立ちなしたが、萩生田さんは執行部の外からどのように見ていましたか?
少数与党の悲哀というか、苦しさがあって、執行部の皆さんは苦労されたのだろうと思います。高校無償化の件など、私自身も個人的に思うところはありますが、予算成立のためにやむをえなかった一面はあるだろうと、理解している部分もあります。
ただ、だからと言って持続可能かわからない制度をどんどん取り入れていくことは、政権政党・与党の責任だと言いながら、実は無責任なこと。ここは野党に対しても慎重であるべきだと思います。
こんなことを政調会長までやった自分が言ってはダメなのかもしれませんが、「国民の皆さんが選んだ結果が今の衆議院の議席数なので、年度内の予算成立は難しいかもしれない」と、そういうところまで国民にわかってもらい、政治を見てもらわなければならないんじゃないかと。
選挙結果としての少数与党なんだけど、「お前ら与党なんだから3月31日までに予算を上げろよ」と言われ、そのためにあれもやれ、これもやれというのは、ちょっと乱暴な話だと思います。
「キャッチコピー政策」に冷静な見方を
国民民主党の皆さんが今国会をきっかけに、103万円の壁について「手取りを増やす」というインパクトのある形で主張をされ、私自身も「そういう言い方をすれば注目されるんだな」と勉強になりました。
彼らは178万円までの引き上げを主張していたので、自分たちの望んだ形とは違うと言って蹴飛ばしましたけど、でもやっぱり今回、彼らの提案によって国民の皆さんにわずかでも還付できるお金ができたわけです。なので(自民党は少数与党として)いい意味での妥協点を見いだしながら野党の皆さんと話をしていく必要があるとは思う。
ただ、あんまり前のめりに、”与党ボケ”と言うと怒られるかもしれないけど、「与党なんだから(予算を成立させるために何でもするのは)仕方がないんだ」という価値観を振りかざすのはどうかと思っています。
――自民党として譲れないものや矜持をしっかり持っていないと、どこまでも妥協していってしまうと。
高校無償化にしても、高校生を持つ親御さんにしてみればありがたい制度だと思いますが、高校入学前も、卒業後も、今度は全部負担する側になるわけです。足元の選挙のキャッチコピーみたいな政策に「それいいね」と飛びつく人はいるかもしれないけど、もう少し冷静な見方も提示する必要があるのではないかと思います。
だって、「うちの子が公立で頑張ってるのに、なんで私立に行ったあの子に46万円も渡すんですか」っていう声は必ずあるはずですから。
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