KDDI松田浩路新社長が就任会見で新施策発表、AIマーケット構想と300億円ファンドで通信の先へ挑む

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就任会見で祝福の言葉を寄せたQualcommのクリスティアーノ・アモンCEOも「20年以上松田さんと仕事をしてきた」とコメントしており、2G(CDMA)技術の時代から技術者として信頼関係を感じさせる。

 AI戦略がカギを握る

KDDIは2024年、外部評価期間のOpenSignalから、体感品質が4キャリアで最も優れているという評価を獲得している。このKDDIの通信品質を「あくまでも土台」と位置づける。KDDIの言う「つなぐチカラ」は単に通信を意味するわけではなく、「命を、暮らしを、心をつないでいく、そこに価値を生み出していく力」だと定義する。

「KDDIはライフ(生活)を支える会社から、ライフ(人生)を支える会社へと進化していく」と松田社長。ユーザーの人生という時間軸の中で常に寄り添い、支えられる存在になることを目指すという。

通信を基盤にサービスを展開していく構想を示した(筆者撮影)
通信を基盤にサービスを展開していく構想を示した(筆者撮影)

松田社長が描く未来のカギを握るのがAIだ。「通信とAIが組み合わさることが重要」と強調し、「5GがAIによってさらに進化していく」と展望する。

5G✕AIという方向性は、国内外の携帯電話キャリアに共通するスローガンとなっているが、KDDIはパートナー連携を含めた実現のための構想を紹介した。

5G✕AI
5G✕AIはモバイル通信業界では共通のテーマだ(筆者撮影)

まず、AIサービスについては、「AIマーケット」を創設する構想を発表した。AI検索サービスのFeloなどスタートアップ企業を提供パートナーとして集めて、「お客様がAIの世界に一歩踏み出しやすい場」を作る構想だ。松田社長はauが2010年代のスマホ普及期に提供していたアプリストアになぞらえ、「auスマートパスのAI版」と表現した。提供開始の時期は未定だが、松田氏は「そう遠くない時期に」開始を目指すとしている。

AIマーケット
AIマーケットを設立する構想を示した(筆者撮影)

ライバル企業の状況をみると、NTTドコモはAI検索サービス「Stella AI」に出資、ソフトバンクはアメリカのPerplexityと連携してそれぞれ自社の通信サービスとセットで提供するなど、特定のAIサービスを重視する方向性を打ち出している。KDDIはAI検索エンジンの「Felo」とも組むが、多様なスタートアップのAIサービスと連携してプラットフォーマーの立ち位置を目指す点に違いがある。

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