思わず「へえ~」と感心してしまう”宗教と地理”の関係 壮大な「北欧神話」は過酷な自然環境が生んだ!

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宗教は地理から学べ
昼夜の概念を超越した環境は、北欧神話にも反映され、光と闇のせめぎ合いや、多層的な時間感覚の捉え方につながったのではないでしょうか(写真:tomo9933/PIXTA)
宗教は歴史を動かし、文化を形作る大きな力ですが、「なんだか難しそう……」と思う方も少なくないのでは。普段はあまり意識しない”地理”が、実は信仰の誕生や伝播に影響していると知れば、新鮮な驚きとともに理解が深まるはずです。
※本稿は『宗教は地理から学べ!』から一部抜粋・編集したものです。

厳しい自然環境が北欧神話を生んだ

北欧(ヨーロッパ北部)と呼ばれる地域は、おおむね北緯55度以北から北極圏(北緯66度33分以北)に至るまでを含み、ノルウェーやスウェーデン、フィンランド、アイスランド、デンマークを指すのが一般的です。

海岸沿いは北大西洋海流(暖流)の影響で比較的温暖な気候となりますが、同じ北欧でも内陸部やスカンディナヴィア山脈の東側は、偏西風がもたらす暖気が届きにくく寒冷な地域が広がっています。

さらに北欧北部は、北極海に面しており、ツンドラ気候(最暖月平均気温が10℃未満)が展開し、人々が居住できる範囲は限られてきました。

こうした高緯度特有の厳しい気候は、古代の人々の日常において大きな制約となりました。

特に、スカンディナヴィア山脈は山岳とフィヨルド(かつての氷河侵食によってできた谷が沈水して形成された湾)が複雑に入り組むため平野が狭く、海岸線から内陸へ行くほど標高が上がり、それでいて寒冷気候下であるため、農地を開拓するのは容易ではありません。過酷な地理的環境下では、食料を大地ではなく目の前に広がる大海原にも求め、人々は海産物を頼りにし、限られた牧草地で家畜を飼育して命をつないできました。

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