宇都宮LRT、「西側延伸」はクルマ社会を変えるか 2030年開業目標、大通りを「歩行者優先」空間に
軌道は、駅を横断する高架区間以外は基本的に、宇都宮駅前から西に延びるメインストリートの「大通り」に敷設する。すでに開業している東側の区間と同様、道路の中央に複線の軌道を設ける計画だ。
市建設部LRT整備課によると、このほかに電車を停め置ける「留置施設」を、「桜通り十文字」停留場(仮称)より西側の区間に設けることを検討しているという。東側区間に車両基地はあるが、「西側にも車両を留置できる施設があれば運行上有利になる」(LRT整備課)ためだ。

都心部の道路は片側3車線→1車線に
大通りの中央に軌道を設けるため、道路の車線数は減る。宇都宮駅西口付近から「裁判所前」停留場付近までの区間については、現在は片側3車線の車道が片側1車線になる。裁判所前付近から延伸区間の終点にあたる「教育会館前」までは、軌道を道路の中央部分に敷設するのは変わらないものの、車線数は片側2車線とする計画だ。

市内中心部の大通りを片側1車線とするのは、「都心部への車の乗り入れをできるだけ抑制し、人が滞留できるようなウォーカブル(歩行者中心)な空間にする」(LRT整備課)狙いがある。
車線数が減ることで渋滞を懸念する声もある。宇都宮駅前で客待ちをしていたタクシードライバーの男性は「朝などは今もかなり混むので、1車線になると心配」。トラックドライバーの男性も「バスが多い道路なので車線が減るとどうなるか」と不安を口にした。
市は「都心環状線」など周辺の道路整備を進めることで、都心部を通過するだけの車が迂回できるようにするなど、自動車交通円滑化の施策に取り組む。「クルマ社会」の中で、歩行者優先の街づくりとの融合が成功するかが注目される。
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