宇都宮LRT、「西側延伸」はクルマ社会を変えるか 2030年開業目標、大通りを「歩行者優先」空間に

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開業前には、事業費の度重なる増加が批判も浴びたライトライン。だが、単なる交通手段を超えた「街づくりの装置」としてのLRTの効果は、整備コストや単体の採算性だけでは図れないといえる。

ライトライン開業の効果が表れているのは不動産だ。不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」の調査によると、ライトライン沿線の家賃相場は沿線外と比べて上昇しており、2025年1月の沿線の平均賃料は7万6117円と、2023年8月の開業時から9.8%上昇。沿線外は同期間で1.3%の伸びにとどまっており、ライトライン沿線の人気が高まっていることがうかがえる。

また、西側延伸区間の沿線も6.1%上昇しており、すでに開業後への期待感もあるようだ。

宇都宮 停留所に3台連なったバス
停留所に3台連なったバス。路線バスの本数は非常に多い(記者撮影)

東武宇都宮線乗り入れは実現するか

西側延伸の計画が進展する中、東武宇都宮線への将来的な乗り入れについても構想が進展しつつある。栃木県や宇都宮市、東武鉄道は3月下旬に初の協議会を開催した。ライトラインは周辺他線への乗り入れを考慮して、線路幅を在来線で一般的な1067mmとしており、直通そのものは可能だ。一方で、電圧や車両サイズの違いなど課題も多い。

栃木県の福田富一知事は同協議会開催後の3月27日の記者会見で、「結節や乗り入れは(西側延伸開業予定の)2030年に同時ということではなく、当然それ以降で検討していくことにならざるをえないのではないか」と述べ、将来的な検討課題であるとの認識を示した。

ライトライン 西側延伸 PR幕
西側延伸をPRする幕とライトラインの電車(記者撮影)
【図と写真をもう一度見る】「ライトライン」西側延伸区間のルート図と軌道が敷設される「大通り」の現在の様子、そして東側区間の開業日のにぎわいなど

東側区間の開業までには、反対運動や度重なる費用の増加、工事の遅れなどに見舞われたライトライン。開業後は想定を上回る好成績を続けており、地域経済にプラスの影響を与えている。中心市街地を走る西側延伸は、その本領をさらに発揮する機会となりそうだ。

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小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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