日本は自動運転「負け組」か?「ビジネスの勝ち負け」では論じられない自動運転のリアル

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そして3点目は「必要性」である。端的に「自動運転は日本で、本当に必要なのか?」ということだ。

WaymoはGO、日本交通と戦略的パートナーシップを結び、4月から港区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区でドライバー乗車状態での走行データ収集を始める(筆者撮影)
WaymoはGO、日本交通と戦略的パートナーシップを結び、4月から港区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区でドライバー乗車状態での走行データ収集を始める(筆者撮影)

自動運転では、「社会受容性」という表現を使い、その中で人間らしい生き方を考えるウェルビーイングの領域も踏まえた「広い発想」に基づく議論がある。そうした中で、「理想と現実」が乖離している部分があるのだ。

たとえば、サービスカーでの「現実」とは、前述のようなコストの問題がある。あわせて、AIオンデマンド交通や各種のライドシェアなど、地域交通に関するさまざまな選択肢が増えてきており、自動運転の必要性が変化していると感じる。

オーナーカーの自動運転についても、必要性が問われるだろう。直近では、自動車メーカー各社が「AI(人工知能)を活用した」という枕詞を使い、技術革新について説明する機会が増えた。

自動運転の「現実解」はどこにあるのか?

「交通事故ゼロ」を目指す自動車メーカーの方針に異議を唱える人はほとんどいないだろう。だが、そこにもやはりコストという課題が立ちはだかる。新車のコスト上昇、また高速道路利用時の次世代通信技術に対する通行料負担が想定される。

さらに、テスラの事例のような「乗用車の公共化」のビジネスモデルが日本でも普及する場合、自動車販売企業の収益構造にも変化が生じるだろう。

自動運転は本当に日本で必要なのか。日本における「現実解」を念頭に、今後も自動運転関連の取材を続けていきたい。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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