日本は自動運転「負け組」か?「ビジネスの勝ち負け」では論じられない自動運転のリアル

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シンポジウムに登壇した、百瀬敬(ももせたかし)市長は「ここは昔から交通の要衝。常に時代の変化に対して敏感な土地柄」と、自身が生まれ育った塩尻を解析する。

塩尻市の百瀬敬市長と信州地域で交通事業やスーパー事業を手掛けるアルピコホールディングスの佐藤裕一社長(筆者撮影)
塩尻市の百瀬敬市長と信州地域で交通事業やスーパー事業を手掛けるアルピコホールディングスの佐藤裕一社長(筆者撮影)

変化が出てきた自動車メーカーの取り組み

今回の取材を通じた意見を述べる前に、国内外の自動運転に関する動きを整理しておきたい。

時計の針を戻してみると、国は2010年代半ば以降、アメリカ運輸省道路交通安全局(NHTSA)、アメリカ自動車技術会(SAE)、そして独連邦道路交通研究所(Bast)が共同で策定した、自動運転レベルなどの指針を考慮し、乗用車の意味である「オーナーカー」と、公共交通機関を指す「サービスカー」という分類をしてきた。

主要な施策としては、自動運転の技術・法整備・人材育成・実用化戦略を行うため、内閣府を中心とした産学官連携の国家プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(通称SIP)」をその一環として実施し、第1期・第2期で合計9年半を費やしている。

また、こうした動きに連動して、経済産業省と国土交通省が、自動運転やMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の補助事業を行い、同時に自動車メーカー各社は、オーナーカーにおいていわゆる緊急自動ブレーキや、車線逸脱防止装置といった先進運転支援システム(ADAS)の高度化を進めてきた。

現時点では、運転の主体がドライバーにある「自動運転レベル2」の高度化が主流だ。

ホンダ「レジェンド」自動運転レベル3で走行中の様子。2021年4月、SIP関連イベントにて(筆者撮影)
ホンダ「レジェンド」自動運転レベル3で走行中の様子。2021年4月、SIP関連イベントにて(筆者撮影)

運転の主体をシステムが担う「自動運転レベル3」は、ホンダが「Honda SENSING Elite」として「レジェンド」に搭載し、世界初の量産事例となったものの、その後に続く例はあまりない。課題はコストと社会受容性だ。

そんな中、自動車メーカー各社の自動運転に対する取り組み方に変化が出てきた。

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