
このように、日本での自動運転は社会実装に向けて前進している部分もある。ところが、海外の一部では、日本とはまるで「別次元」のような話の進み方をしているのが実情だ。
Googleからスピンアウト(独立)したWaymo(ウェイモ)などはその一例で、日本でロボットタクシーと呼ばれる領域の開発コストが、日本と比べて2桁どころか3桁も違うようなイメージ。つまり、数十億円に対して数兆円という規模感なのだ。
日本の自動運転ベンチャー関係者の中には「今はデファクト待ちが得策」という見方もある。「デファクト」とは、有力企業のビジネスモデルが市場を占有することで、実質的に標準化する「デファクトスタンダード」を指す。
デファクトされた技術をそのまま買うのか、それともデファクトされた技術を参考に独自開発するのかなど、日本企業にはさまざまな選択肢が考えられるだろう。
ロボットタクシーとして稼ぐ自家用車
もうひとつ、サービス事業としてのデファクトになりそうなのが、アメリカ・テスラのモデル名称「ロボットタクシー」だ。
3万ドル(1ドル150円換算で450万円)で個人が購入し、自分がオーナーカー(乗用車)として使わないときは、ロボットタクシーとして稼ぐことができるという新型EVだ。

アメリカの報道では、テスラのイーロン・マスクCEOは「ロボットタクシー技術を使った『モデル3』と『モデルY』をロボットタクシーに先駆けて市場投入する」と発言したとされる。
こうしたテスラのビジネスモデルは、オーナーカーとサービスカーという発想が融合する「乗用車の公共化」だ。
筆者は、2000年代から世界各地で自動運転に関する取材や、産学官関係者との意見交換を定常的に行い、また国や地方自治体の会議や検討会にも参加してきたが、現在のグローバルでの動きを俯瞰してみると、自動運転は今「新たなるステージに突入した」といっていいと思う。
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