リチウム化合物の原料には、鉱山で採掘される鉱石と塩湖のかん水の主に2種類がある。そのうち鉱石に関して、天斉鋰業はオーストラリア子会社が運営するグリーンブッシュ鉱山から全量を調達している。
(訳注:グリーンブッシュ鉱山の採掘権益は、天斉鋰業がオーストラリア企業との合弁会社を通じて51%を、アメリカのリチウム大手のアルベマールが49%を保有している)
実は、同鉱山からの調達価格を決める仕組みには問題があった。市場価格の変動に応じて四半期(3カ月)ごとに見直す取り決めだったため、リチウム相場が2023年からほぼ一貫して下がり続ける中、天斉鋰業の調達価格が常に市場価格を上回る状況が生じてしまったのだ。
その後、調達価格の見直しは2024年1月から月次ベースに変更されたが、それ以前に高値で抱えた在庫の消化が続き、天斉鋰業の業績を悪化させる要因になった。
豪州事業で減損処理
決算報告書によれば、天斉鋰業は2024年に総額21億1400万元(約438億円)の減損引当金を計上した。そのうち約7億元(約145億円)は、主に西オーストラリア州クイナナにある同社傘下の精錬所が抱えた鉱石在庫の減損処理によるものだ。

残りの14億元(約290億円)余りは、同社が2025年初めに中断したクイナナ精錬所の第2期建設プロジェクトに起因する。このプロジェクトは完成を見ることなく減損処理の対象になった。

中国のリチウム業界では、オーストラリア産の鉱石を中国の精錬所で加工するビジネスモデルが、最も競争力が高いというのが常識だ。オーストラリアでは、人件費や環境対応などのコストが中国よりはるかに高いからである。
現在のリチウム相場の水準では、オーストラリアの高コストを吸収することは不可能だ。その結果、天斉鋰業のクイナナ精錬所は赤字操業を余儀なくされている。決算報告書によれば、同社が精錬所の持ち株比率(51%)に応じて計上した関連損失は10億9200万元(約226億円)に上った。
(財新記者:盧宇同)
※原文の配信は3月27日
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