「大不況を起こすつもりか」“ビジネスマン”ではなかったトランプ、イデオロギーのため自国経済さえ壊す狂気に、ドル離れが加速する?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これらの行動は、トランプがアメリカ経済にとって良いことをするビジネスマンだという幻想を打ち砕くはずだ。それどころか、トランプはナショナリスティックなイデオロギーに目がくらんでいて、自分の行動がいかに自滅的なものかを理解していない。

彼の目標はアメリカの貿易赤字(GDPの約4%)をゼロにすることだ。しかし、これは深刻な景気後退を引き起こさない限り不可能である。トランプは、アメリカが貿易赤字を出しているのは他国が不正をしているからだと思い込んでいる。

大不況を起こしてでも貿易赤字を縮小させる?

しかし本当の理由は、アメリカの消費総額(個人消費、企業投資、政府支出)が慢性的にGDPを上回っているからだ。だから、その消費を減らすことが、赤字を大幅に減らす唯一の方法なのだ。だからアメリカの財政赤字が最も減少したのは、GDPが伸び悩んだ時、あるいは減少した時なのだ。

貿易赤字が数年間で最も減少したのは、2007年から2009年の大不況期である。当時、失業率は10%まで上昇した。その時でさえ、赤字はGDPの2.3%しか縮小しなかった。

今、日本はどう対応すべきかを考えなければならない。従来、日本は中国やカナダ、EUのような報復措置には非常に消極的だった。しかし、石破茂首相の「トランプをなだめる」戦略は完全に失敗した。難しいジレンマであり、今夏の参院選の重要なファクターになることは間違いない。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事