《エヌビディア躍進の“原点”はセガにあった?》ゲーム産業を革新した3次元CG技術の知られざる歴史
1990年代後半の3DCGは、まだ陰影の無いフラットシェーディングの時代で、それらが「バーチャレーシング」(1992年導入)や「バーチャファイター」(1993年導入)に技術として展開されていく。それらの技術を確立したのは、セガの技術開発陣で、3DCGをゲームで再現するオリジナルのゲーム開発基板「MODEL1(モデル1)」に依るものだった。
この「モデル1」基板を皮切りにセガは3DCGゲームに大きく舵を切る。そして、さらなる技術的な高みを目指して3DCG技術で先進的な存在だったGE(ゼネラルエレクトリック)と技術提携を行った。
GEは軍事シミュレーター技術を手掛けており、セガが手掛けていたフラットシェーディングではなく、より精細なテクスチャー・マッピング技術を取り入れていた。そのテクスチャー・マッピング技術をゲームに採り入れたものが「MODEL2(モデル2)」基板と呼ばれ、「バーチャファイター2」(1995年導入)、「デイトナUSA」(同年)などに活用され、リアルさを増した3DCGでプレイヤーたちを圧倒し引き付けることに成功したのだ。
新しいゲーム基板が、新しいエンタテインメントをもたらすことから、セガは社内でオリジナルのチップ開発に注力したが、本業のゲーム開発の傍らで行われたそれは結果を出すことが難しい状況だった。
その頃、セガにSHシリーズのチップを大量に供給していた日立から、アメリカの半導体を開発するスタートアップ企業を紹介するというオファーがあった。そのスタートアップ企業こそがジェンスン・フアン率いるエヌビディアだった。
ゲーム開発環境の変化と半導体の進化
アーケード版「バーチャファイター」の導入から30年を経た、2024年末にセガから「VF Direct 2024」という新作プロジェクト映像配信が行われた。2006年の「バーチャファイター5」以来新作がリリースされていない同作の最新イメージ映像が発表され、その「バーチャファイター30周年映像」の中で、ジェンスン・フアンがコメントしたことは記憶に新しい。
続く、2025年1月のCES(コンシューマエレクトロニクスショウ)のエヌビディア基調講演においても「バーチャファイター」の初期の開発モデルから、「VF Direct 2024」コンセプトムービーを抜粋して紹介したようにセガとエヌビディアの関係性は続いている。
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