中国の石炭市場、需要振るわず「供給過剰」鮮明に 不動産不況が続き建材生産向けの需要戻らず

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石炭市場の供給過剰と相場下落を背景に、業界関係者の間に先行き不安が広がり、さまざまな噂が飛び交っている。

例えば海関総署は3月17日、市場に流れた「税関が(供給過剰を緩和するため)輸入炭の通関検査を遅らせている」という噂をきっぱりと否定。企業や業界関係者が未確認情報を不用意に信じて拡散し、無用のトラブルや損失を引き起こさないよう注意を喚起した。

不動産不況が続く中、鉄筋やセメントなど建材向けの石炭需要は回復の兆しが見えない。写真は不動産大手の恒大集団が建設するマンション群(同社ウェブサイトより)

直近の需要の弱さに関しては、季節的要因の影響もある。市場調査会社の易煤資詢の調査レポートは、春の訪れとともに冬季の暖房需要が縮小し、発電用石炭の消費量を押し下げていると指摘した。

政府の景気対策も期待外れ

一方、発電用以外の石炭需要は低迷が続き、回復の兆しが見えない。中国の不動産市場では住宅販売が上向きに転じたものの、(完成在庫の消化が中心で)建物の新規着工は増加しておらず、(鉄筋やセメントなどの)建材生産向けの石炭需要の増加は望み薄だ。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

また、3月11日に閉幕した全国人民代表大会(国会に相当)でインパクトのある景気刺激策が打ち出されなかったことも、業界関係者の失望を誘った。

現状のままでは、石炭市場の供給過剰を解消するのは難しい。仮に需要がさらに落ち込んだ場合、ただでさえ高水準にある石炭在庫の消化がますます困難になり、(投げ売りによる)相場急落を招くリスクも否定できない。

(財新記者:廬羽桐)
※原文の配信は3月17日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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