いしだあゆみさんの死因「甲状腺機能低下症」 過労や加齢のせいと誤解されがちな病気だが、そこにある”隠れた危険性”とは?【医師が解説】
●甲状腺機能低下症の症状
甲状腺ホルモンが不足すると、体の新陳代謝が低下し、さまざまな不調が表れます。
例えば、朝起きても疲れが抜けず、1日中だるさを感じやすくなり、寒さに敏感になります。食事の量が変わらないのに体重が増え、むくみが気になるようになります。
ほかにも、肌が乾燥する、髪の毛も抜けやすくなる、爪がもろくなる、気分が沈みがちになる、集中力が低下する、物忘れが増える、脈が遅くなる、便秘になる……といった症状が表れます。さらに、女性では生理不順が起こりやすく、妊娠しにくくなることもあります。
こうした甲状腺機能低下症に伴うさまざまな症状は、放っておくと生活の質を大きく損ないかねません。
しかし、これらの症状はそれほど目立たない場合も多く、過労や加齢のせいと誤解されがちです。慢性的な疲労を「普通のこと」として受け流してしまい、検査を受けないままで、気づかぬうちに病気が進行しているケースも少なくないのです。
気になる症状があった場合は、お近くの内科クリニックなどで甲状腺ホルモンの血液検査を相談してみるとよいでしょう。ちなみに、甲状腺ホルモンが出過ぎるバセドウ病などの甲状腺機能亢進症では、逆の症状で気がつくことがあります。
甲状腺機能低下症の治療
甲状腺機能低下症の治療は、甲状腺ホルモンの低下の程度によって異なります。
症状が軽くホルモン分泌が正常な場合は、経過観察を行っていきます。
ホルモン不足で甲状腺機能低下症を引き起こしている場合は、甲状腺ホルモン補充療法が必要になります。これは不足したホルモンを薬で補う治療で、症状を改善するのに効果的です。
治療を続けることで、倦怠感やむくみ、寒がりなどの症状は徐々に改善します。薬の量は血液検査でホルモンの状態を確認しながら調整する必要があり、また自己判断で薬をやめると症状が悪化することがあるため、医師の指導のもと年単位で継続することになります。
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