いしだあゆみさんの死因「甲状腺機能低下症」 過労や加齢のせいと誤解されがちな病気だが、そこにある”隠れた危険性”とは?【医師が解説】

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橋本病は、自分の免疫細胞の異常によって、甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気です。ただし、大部分の人では甲状腺ホルモンが正常範囲にとどまっているので、特段の治療までは必要なく、ホルモン低下に対して治療が必要になるのは、4~5人に1人未満といわれています。

ちなみに、橋本病を発見したのは、筆者の母校である九州大学医学部の大先輩、橋本策(はしもとはかる)医師です。1912年に論文を発表。その業績が評価され、彼の名を冠した病名が世界中で使われるようになりました(英語の病名はHashimoto's thyroiditis)。

さて、甲状腺機能低下症は初期段階は「単なる疲れ」などとされ、すぐには診断がつかないことがよくあります。見過ごされがちな病気なのです。

しかし、甲状腺ホルモンが不足すると、日常の生活にさまざまな支障をきたすことになり、また、非常にまれですが致命的な合併症を引き起こすことがあります。

特に女性は健康リスクの1つとして、知っておいたほうがいい病気だと思います。

甲状腺は蝶のような形をした臓器

甲状腺は、首の付け根にある蝶のような形をした小さな臓器(イラスト参照。※外部配信先では閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)で、全身の代謝やエネルギー消費を司る重要な役割を果たしています。

イラストの赤い部分が甲状腺の位置(イラスト:筆者作成)
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