タイ・バンコクで発見、日本の「旧国鉄車両」の今 担当者が語る「日本製中古車導入のメリット」

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一方、その隣にいたのは古めかしい雰囲気の客車だ。ブルートレインのような青色に塗られているが、片側には展望デッキがあり、窓の配置も日本のブルートレイン車両とは異なる。

他国の客車をブルートレイン色にしたのだろうか……と思いながら車端部を見ると、そこにはなんと「OSAKA JAPAN/KINKI SHARYO/1957」と書かれたプレートが取り付けられていた。

帰国後に調べたところ、この車両は近畿車輛が1957年12月にタイ国鉄へ納入した特別車(貴賓車)で、車内は展望室を兼ねた会議室と貴賓室に加え、調理室、給仕室、化粧室などで構成。会議室や貴賓室などはカーペット敷きで、クーラーも設置されていた。

当時は朱色とクリーム色の塗り分けだったようだが、元ブルートレイン車両がタイへと渡り、その一部が同様の展望デッキを持つ貴賓車に改造されたタイミングで、それらと同じ青色に塗り替えられたと思われる。

タイ国鉄 近畿車輛製 特別車
マッカサン工場にいた近畿車輛製の特別車。展望デッキがある(撮影:伊原薫)
【写真の続き】1957年にタイ国鉄に納入された近畿車輛製「特別車」の現在の姿は?完成当時の外観と車内を写した貴重な写真も

異国の地での姿に感動

製造からまもなく70年を迎えようという日本の車両が、日本製であることを示すプレートを残したまま、今なお異国の地で美しい姿を保っている……その様に、感動を覚えた。

ちなみに、タイ国鉄ではこの特別車と同時期に日本で製造された一般客車が、今もローカル輸送で使われている。こちらは日本製であることを示すプレートなどがなく、見た目で判断するのは難しいが、ぜひ探してみていただきたい。

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【1つ前の記事】<タイの「元JR車両」観光列車、なぜ「国鉄色」なのか>日本からタイに渡った元JR北海道のキハ183系はなぜ「クリーム色に赤帯」の姿になったのか
【関連記事】タイで復活、日本の「元ブルートレイン」現在の姿>栓抜きがついたテーブルや通路にある収納式のベンチ……筆者も懐かしさのあまり、思わず目が潤んだその乗り心地は?
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伊原 薫 鉄道ライター

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いはら かおる / Kaoru Ihara

大阪府生まれ。京都大学交通政策研究ユニット・都市交通政策技術者。大阪在住の鉄道ライターとして、鉄道雑誌やWebなどで幅広く執筆するほか、講演やテレビ出演・監修なども行う。

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