戦後になって「渡来人」の評価が一転した事情 過大評価?実にわかりにくい渡来人の実態

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アメリカ先住民は呪術的な多神教を信仰し、農業や狩猟によって平和な生活を営んでいた。ピューリタンと呼ばれるイギリス人のカルヴァン派新教徒が移住してきたときに、素朴な先住民は、白い肌の新参者と親しく交流したと記録されている。

しかし、アメリカ(アメリカ合衆国)やカナダに多くの白人が渡って来て開拓を進めたことにより、アメリカ先住民は土地を追われ、その数を減らしていった。

北アメリカの先住民は、比較的近年まで英語で「インディアン」と呼ばれてきた。これは、スペイン人で最初にアメリカに到達したコロンブスが、アメリカ先住民を「インディオ」と名付けたことによるものである。スペイン語のインディオが、英語圏でインディアンになったのだ。

インディオとは、本来は「インド人」を表す言葉だが、これは、コロンブスが活躍した15世紀のスペインで、アジア人全体をインディオと呼んでいたからだ。

それゆえ、近年になって「アメリカ先住民を誤ってアジア人としたコロンブスの考えに立つ名称は、適切でない」という声が起こったのである。

東漢氏、秦氏と個々の氏の名称で呼ぶのが正しい

「インディオ」や「インディアン」に代わるそこそこ妥当な名称として、第二次世界大戦後に「アメリカ先住民」の語が使われるようになってきた。ところが、「アメリカ先住民」の言葉が広まっていくなかで、アメリカ合衆国の先住民の子孫らから、

「『アメリカ先住民』と呼ばれることは不快である」

とする声が広がってきた。

「アメリカ合衆国の地は、もともと私たちの国であった。イギリス人などの白人は、新しくやってきた移住者、つまり『渡来人』にすぎない」

歴史的に見れば、このような考えが妥当(だとう)である。

そのため、物のわかったアメリカの歴史研究者は、「アメリカ先住民」と呼ばれる人びとの気持ちに配慮して、かれらのことを「アパッチ族」、「スー族」などの部族名で呼ぶようになってきた。

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