観光列車素通り駅、新駅舎だけでない努力の軌跡 「ドアが開いた」JR日下駅、改修後の成果と課題

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また、2024年3月のダイヤ改正で観光列車「志国土佐時代の夜明けのものがたり」のドアが開くようになった結果、乗客が列車から降りて物販の購入や地元住民との交流ができるようになった。ここでキッチンスペースが一役買っている。観光列車の乗客にトマトを中心とした村の特産品を試食してもらうため、調理の場としてキッチンスペースが活用されているのだ。計画当初は「どのタイミングで使うのか」という疑問の声があったものの、今では欠かせない設備になっている。

これまで日下駅でドアが開く予定はないとしていたのに一転してドアが開いた理由について、JR四国は「運行時間を約2時間早めることで、食事中に下車をするという車内衛生上の観点での懸念を解消するといった列車内サービスのオペレーションを全面的に見直した結果」だとしており、決して村からの要望だけで実現したわけではないと強調している。

とはいえ、日高村はこれをチャンスと捉え、「村の産品や土産物の販売とおもてなしの趣向についての充実を図り、観光列車の停車駅として名物駅となるよう、集落支援員、住民グループの『日高村おもてなし楽会』や地域の方々と連携・協力して取り組んでいく」としている。

観光列車運行時以外の取り組みも必要

日高村の人口は1985年の6341人をピークに減少が続いており、現在は約4700人。国立社会保障・人口問題研究所による将来推計でも人口は今後も減り続けると予測され、例えば2040年の人口は3434人となっている。人口減少に伴い、何も手を打たなければ日下駅の利用者も減少の一途をたどることが容易に想像できる。

利用者の減少を根本から解決することは難しいかもしれないが、村が「地域住民・観光客の交流の場となる駅にする」と決めた以上、駅および村の活性化を視野に入れた取り組みがより一層求められる。しかしながら、現状では観光列車の運行時間帯だけしか取り組みが行われていない。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事