観光列車素通り駅、新駅舎だけでない努力の軌跡 「ドアが開いた」JR日下駅、改修後の成果と課題

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従来の日下駅は良く言えば趣のある古き良き駅だが、悪く言えば雰囲気が暗い。駅舎の半分は手荷物を取り扱っていた頃に使われていたと思われるスペースが残っており、使用目的のはっきりしない倉庫と化していた。

また、駅舎外にあった別棟のトイレは使いやすいとは言い難く、小便器の水を流すと自分の方に飛び散るという有様だった。

耐震改修前の日下駅(筆者撮影)

老朽化が進んでいた日下駅

JR四国は維持費削減の一環として2014年度より、自社で駅舎を建て替える場合は利用状況に応じて最低限の設備にとどめる方針を固めた。それに伴い、自治体に駅舎の整備・活用等の相談を持ちかけ始めた。

日下駅は築年数が70年ほど経過しており老朽化していたうえ、耐震上も改修の必要に迫られていた。いっぽうで、当時の乗降者数が1日300人程度にすぎなかったことから、2015年4月、日高村に駅舎の維持管理のあり方について相談した。JR四国の方針では現在の駅舎から2人が座れる程度の待合室しかない駅舎に縮小されるという。そこで、日高村は自分たちが既存の駅舎を耐震改修したうえで、継続して利活用していく方向を定めた。

2018年、日高村は駅舎の利用が想定される27自治会701世帯を対象に、駅舎についての住民アンケートを実施した。アンケートには駅舎の必要性を示す声が大きく、「駅舎を残したい」「どちらかと言えば残したい」の回答が9割を超える結果となった。また、当時、村長だった戸梶真幸氏も「日下駅は村の玄関口であり、村民にとって日々の暮らしを支えるかけがえのないもの」として、駅のリニューアルに合わせ、駅の利便性向上や地域住民・観光客の交流の場となる駅にすることを決めた。

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