史上初、JR・路面電車「車両デザイン交換」なぜ実現 広島「新駅ビル」だけではない深いストーリー
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「JR西日本と広島電鉄がコラボ電車を走らせるとは驚いた」――。
多くの鉄道ファンの偽らざる感想だろう。JR西と広電はライバル関係にあると考えられているからだ。宮島と本土を結ぶ宮島航路ではJR宮島フェリー、広電グループの宮島松大汽船の2社が競合し、JR山陽本線の西広島―宮島口間では広電が並走する。そんな両者が2024年9月20日、互いの車両デザインを入れ替えた「ラッピングコラボトレイン」の運行を始めた。
JR西の227系「Red Wing(レッドウィング)」が広電5100形「グリーンムーバーマックス」の装飾を施し、グリーンムーバーマックスはレッドウィングのデザインで走る。両者の車内の一部でも互いのシートが入れ替えられている。
きっかけは「広島駅再開発」
JRと民鉄の車両デザインコラボでは、東急電鉄が新幹線デザインのラッピング電車を走らせた例がある。だが、それは片側施策。「民鉄とJRがデザイン交換したのは本企画が初めてではないか」とJR西日本中国統括本部経営企画部の齋藤賢太郎さんが話す。このようなユニークな取り組みはなぜ実現したのか。関係者に話を聞いた。
きっかけは広島駅南口の再開発。過去10年以上にわたり大規模な再開発が行われ、駅前に超高層ビルや大型商業施設などが建設された。現在は広島駅南口の駅ビル建て替え工事が行われているが、それもほぼ完了し、3月24日に新駅ビル「minamoa(ミナモア)」が開業する。
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