観光列車素通り駅、新駅舎だけでない努力の軌跡 「ドアが開いた」JR日下駅、改修後の成果と課題
JR四国との調整の末、2022年10月に駅舎はJR四国から日高村に無償譲渡されることとなった。駅舎の活用方法に関しては、同年12月に行われた住民意見交換会でトイレの配置やデザインに関する意見が思いのほか多く出た。
防犯カメラや券売機の再設置の意見も挙がった。また、村からは、イベント時に使えるキッチンを設ける予定だという説明があった。「キッチンを何に使うのか」と、住民は驚いた様子だった。
村主導で観光客にも利用しやすい駅舎へ
住民の意見をできるだけ反映する形で、2023年5月より改修工事が始まった。工事がおおむね終わった2023年末頃から住民らが新駅舎の内外装を気にする様子が見受けられ、扉が組子細工となっているなど期待以上の新駅舎に驚きとうれしさに満ちあふれていた。旧駅舎にあった待合室はもちろん、新たにバリアフリートイレや係員の配置できるスペースなどが整備され、利用しやすい駅となった。日下駅の近くに住む男性は「耐震改修の工事中に腐っている柱が搬出されたのを見た。老朽化が進んでいた駅舎が新しくなり立派になった」と目を細めて話した。
2024年3月8日より駅舎の利用が開始された。新築のようにきれいになった駅舎には、新たな試みとして、日高村観光案内所が設置された。窓口がオープンするのは金曜から月曜の週4日で、集落支援員1人が配置された。
日高村の観光協会が別にあるせいか、観光案内所として利用されることがほとんどない。しかし、駅舎の環境整備に寄与している。集落支援員は金曜日に出勤すると真っ先にトイレの汚れとトイレットペーパーの在庫を確認している。公共施設のトイレはどんなに新しくても、あっという間に汚くなるイメージがあるが、日下駅に関しては、「きれいで使いやすい」といった声が挙がる。細かい気配りも駅舎の維持管理には大事なことだと痛感させられる。
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