貯め込まずに楽しむ!老後のお金の"賢い"使い方 昭和世代はお金を使って楽しむことが苦手?
鎌田:認知症の始まりによくある「アパシー」。つまり、無気力、無関心、無感動。そうならないためには、「絶対にお金を残さないで、楽しいことするぞ!」っていう決意がすごく大事だと思います。お金があれば、いろんなことができますから。
お金をどう使うかを「自己決定」する力
鎌田:さっき、荻原さんが「介護や医療のために1200万円残しておく」って言っていたでしょ? それくらいのお金を残せる人も残せない人もいると思うけれど、介護のために残しておいたお金も、最終的には使いみちを決めたほうがいいよね。人生の先が見えてきたら「あとどれくらい必要で、死んだあとにはこれくらい残りそうだな」っていうのが、だいたいわかってきます。そうしたら、死んだあとのお金の行き先をきちんと決めて、書き残しておく必要があると思うんです。
荻原:そうですね。介護費用がまったくの手つかずで残る可能性もありますから。
鎌田:そのお金がたとえわずかであっても、自己決定してから亡くなってほしいとぼくは思っているんです。近年、結婚していないとか、子どもがいないとかで相続人がいない人がかなりいるんです。2022年は、1年間に約768億円もの個人の財産が国庫に入ったそうです。
荻原:ものすごい金額ですよね。
鎌田:本当にそうです。このお金を国が正しく使ってくれるとはかぎらないでしょう? 最近の政治資金の問題などを見ても、とても安心してまかせられるものではない。でもこれは、亡くなった人が何十年も一生懸命働いて、大切に貯めたお金です。国に預けてしまうくらいなら、生きているうちに自分が「ここ」と決めた団体などに寄付するほうがよほどいいんじゃないかと思うんですよ。たとえば、お世話になった訪問看護ステーションがあるとしますね。そこに10万円でも20万円でも寄付すれば、亡くなったあとも感謝される。そういう使い方をしてほしいと思うんです。
荻原:大賛成です。お金はあの世まで持っていけませんから、ある程度の年齢になったら使いみちを考えることはとても大切だと思います。
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