日本の観光業を苦しめる「"安すぎる"値付け」問題 日本は「観光"未"立国」だ!残念すぎる現状
熊野古道のガイドさんにおいては、海外需要増で外国語対応やエージェント依頼の高い要求をクリアできる高単価な方々も増えていますが、まだ一部ではないでしょうか。
体験価値に似合う設計にしたら、働き手も地域ももっと潤うと思います。
そのためには、「相場がわからないので安い値付け(プライシング)」はすべきではありません。きちんとお客さんの目線に立ち、納得感のある価格をつけるべきです。
世界遺産認定の神社仏閣や祭りも「安すぎる日本」
自分たちの地域に根付く観光資源の価値を正しく価格に反映できず、安く提供してしまっている事例は他にもたくさんあります。
山だけではなく水辺もしかり。全国各地にあるカヌー、また最近流行のSUPといったアクティビティの価格を見てください。
旅行者の目線に立った価格というより、地元の人が「これくらいなら採算がとれそう」と安めに出した価格という印象を強く受けてしまいます。
観光客には地域になるべく長く滞在してもらい、隙間の時間に思い思いのアクティビティや体験プログラムを楽しみ、よい思い出としてほしいもの。そうすることで、観光消費額の増加にもつながりますし、観光地としての魅力の向上にもなります。
ですが、今の日本の観光にはまだそれが足りていない地域が多いように感じています。
このように「安すぎる値付け」問題は、寺社仏閣や全国各地で催される祭りでも見られる光景です。
世界遺産に認定された京都の清水寺や、広島の厳島神社の拝観料をご存じでしょうか。それぞれ、500円と300円です。
あるいは日本には祇園祭りやねぶたなど、世界中の人から関心を持たれる「祭り」という無形文化財がありますが、この大半は見るのが無料で、赤字運営が常態化しています。
これもあまりにもったいない話です。
お金をかけられずに管理が行き届かなくなる文化財や、受け継がれなくなる祭りが今、全国各地で目立つようになってきていて、これも私は問題だと思っています。
これからの観光の価値というのは、「何百年紡がれてきた歴史や文化」といったストーリーを持つところこそ輝くのが世界のトレンド。
それなのに、マネタイズがうまくできないゆえ、根源的な価値を未来につなげないのであれば、ポテンシャルを棄損していることになります。
日本の観光業界が抱える「マネタイズが下手」問題。
早急な改善が求められます。
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