寒い冬こそ食べ頃「めすうなぎ」の知られざる魅力 うなぎの一大産地「三河一色」から生まれた
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うなぎ屋の客足が少なくなる冬場は、3〜4月に池入れしても飼育期間が180日を超えるため、夏場よりもうなぎ本来の旨みが味わえるものの、どうしても身が締まってきてしまう。このあたりは好みが分かれるところだが、口の中でとろけるような食感こそが一色うなぎの醍醐味であるというイメージは拭えない。
昨年末、三河方面へ取材に行った帰りにうなぎを食べようと一色町にある「うなぎの兼光 一色本店」に立ち寄った。ここは一色町で養鰻から加工、販売を手がける兼光グループの直営店。名古屋市内よりもお値打ちに食べられるので、たまに足を運んでいる。
店に着いたのは昼の1時頃だったが、冬場といえども店内の待合スペースは空席待ちの客であふれかえっていた。ふと、レジのほうへ目をやると、「本日はめすうなぎです」と書かれたボードが気になった。めすうなぎ? そういえば、これまでうなぎのオス、メスを気にしたことがなかった。牛肉も雌牛のほうがやわらかくておいしいように、うなぎにも違いがあるのだろうか。そんなことを考えていたら、席へと案内された。
きめ細やかな肉質と上品な脂の口溶け
せっかく一色町まで来たのだから、たまには贅沢をしたい。メニューを見ると、そこにも「本日はめすうなぎです」と書かれてあった。注文したのは、うなぎを一尾丸ごと使用した「うな丼特上」。ちなみに値段は3400円。名古屋市内で同じものを注文したら、間違いなく5000円近くはするだろう。
焦げる寸前の絶妙な火加減で丁寧に焼き上げたうなぎの蒲焼きがご飯を覆い尽くすさまは圧巻そのもの。箸で蒲焼きとご飯をすくい上げて口の中へ。あれ? 噛むごとに広がる旨みとあふれ出すジューシーな脂を想像していたが、どこか違う。
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さらに蒲焼きをひと切れ食べてみると、肉質がきめ細かくてしっとりとしていることに気がついた。脂も上品で繊細な味わい。マグロに例えると、腹ではなく背びれの周囲にある、いわゆる「背とろ」のように、しつこさはまったくない。これがめすうなぎのおいしさなのか。筆者はこれまでうなぎを数えきれないほど食べてきたが、この初めての味に衝撃を受けた。
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