「パラサイト・シングル中高年化」の先に待つ難題 「希望格差」問題を放置してきた日本社会の代償

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独身者の存在が、即社会問題になるわけではない。特に、自ら独身を選び取っている「独身主義者」が問題とされることは少ない。一昔前は、ほとんどの人が結婚している中で、独身を貫くためには、独身でも大丈夫なように、覚悟を持って若い頃から生活設計をしていると考えられたからである。

結婚したくてもできない独身者たち

しかし、現在増えている中年独身者は、結婚したくてもできなかった未婚者と離別者が多数を占めている。1997年の出生動向調査によると、当時の18-34歳(2023年時点で44-60歳)の結婚希望者は、男85.9%、女性89.1%であり、その年代の半数以上はすでに結婚していたので、男性であっても93%以上、女性であれば95%以上の人が既婚、もしくは結婚希望者だったことになる。

結婚を希望しない未婚の若者は、男性でも未婚者の6.3%、女性では4.9%(不詳があるので合計が100%にならない)にすぎなかった。既婚や離死別者を加えた世代全体から見れば、男女とも4%に満たなかったのである。現在の中年未婚者の大多数は、若い頃は結婚を希望していたことになる。

離別に関しても、通常、結婚した時点で将来の離婚を予測するものは少ないので、離別独身者の大多数は、予定外の独身といってよい。死別でも、該当者の配偶者は同年代であった人が大部分であるため、50代までに亡くなったと推定される。平均寿命が男女とも80歳であることを考えると、ほとんどが、結婚した当時には予期せぬ形で独身者となったと推測される。

つまり、50代で配偶者がいない人の大部分は、未婚、離別、死別にかかわらず、いわば「不本意」な独身者ということができよう。この不本意な独身者が増えていることが、さまざまな問題を生み出す背景となっている。

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