不透明感があっても日本株を買うのが正しいワケ 今しばらくは「小幅逆張り」で稼ぐときだ

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株式市場の需給に大きな影響を与える、日銀が保有するETFの処置は今まで長期間にわたって論議の的だった。

この問題は、過去にあった民間資金による共同証券や保有組合の政策保有株とは違うということで、最近は棚上げされてきた。しかし、日本の投資家の心の奥底に沈んでいる不安の存在であることは間違いなく、これが再び頭をもたげ、日経平均の上値を押さえているのかもしれない。

3つめの外部要因はアメリカのドナルド・トランプ大統領の出方に対する不透明感だ。関税問題は当然として、それだけでなくウクライナ戦争の終了時期などもあげられよう。

利下げできないFRB、利上げできない日銀

12日に発表されたアメリカの1月消費者物価指数(CPI) は、前年同月比+3.0%と、事前予想や前月の+2.9%を上回った。食品とエネルギー成分を除くコアCPIも同+3.3%と、やはり前月の3.2%を上回った。さらに13日のPPI(生産者物価指数)もやはり事前予想を上回った。

この原因としては、アメリカの企業がトランプ大統領の関税引き上げを事前に予想して、価格を引き上げていた可能性がある。インフレを招くと言われているトランプ大統領の関税引き上げに対する警告のようになったようだ。また、始まった不法移民の大量送還も、企業のコスト上昇につながるというのも常識になっている。

トランプ大統領はFRB(連邦準備制度理事会)に対し利下げ圧力をかけていると言われる。だが、この2つの指標でもわかるとおり、FRBは少なくとも「安易な利下げ継続」は困難となっている。

一方、日銀も、物価上昇による消費低迷状態を回避するためには設備投資を促して供給力を増すことが重要のはずだが、利上げは設備投資を押さえる格好になり、「安易な利上げ継続」は困難だ。

こうした状態下では、ドル円相場の方向感は出てこない。ただ、2025年末の主要シンクタンク予想が1ドル=140円から160円まで分かれる中で、中間の150円どころに落ち着く今のドル円相場は、外部要因として、決して悪くない。

トランプ大統領の影響を受ける世界が今後どうなるかは、依然不透明である。だが、前回も書いたように、相場は透明になってからでは儲からない。ただし、株価の3要素の中心はやはり業績であり、その業績はしっかりしているのだから、他の2要素で株価の波乱がおきているのであれば、まずは買ってみるのが手だ。不透明感がどうしても心配な投資家は、早めに利益確定をするのもいいだろう。しばらくは「小幅逆張り」で稼ごうではないか。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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