国外のラグビー界では各代表チームを応援する歌がある。開催国・イングランドの「スウィング・ロウ・スウィート・チャリオット」が有名だし、フランスは革命の歌でもある国歌がそのまま使われる。先のスコットランド戦でも同国サポーターが“国歌”「フラワー・オブ・スコットランド」を何度も合唱していた。
その点において、日本ラグビーには応援に使える歌がないのは残念だ。その代わり、日本サポーターに加え、英国にもいるサッカー日本代表の青ジャージを着たファンなどが積極的に「ニッポン、チャチャチャ」の拍手と掛け声を繰り返し、地元の観戦客とともに声を枯らした。ピッチと観客席との距離が極端に近いキングスホルム、日本の選手たちにもしっかり声援が届いていたことだろう。
日本代表の応援歌をめぐっては、2007年大会でJAPANを率いたジョン・カーワン元監督の希望で作られた「楕円桜」という曲があるが、いまひとつ浸透していないのが現状だ。作詞・作曲者の渡瀬あつ子さんはスコットランド戦のあと、「欧州人サポーターの脅威的な合唱が、2019年には日本に襲って来ますから、それに立ち向かえる準備を!」と呼びかけている。
JAPANの快進撃でニッポンへの興味高まる
スコットランド戦では敗れはしたものの、英国人の「ニッポンへの興味」はさらに膨らむ一方だ。試合の最中、「悲しくて泣く、うれしくても泣く」という日本人を見て、大きなカルチャーショックを感じた英国人は多かった。現地テレビも南ア戦ののち、スタンドで涙を流すシニア世代の日本人を繰り返し放映、サポーターの規律正しさや礼儀の良さは大きな関心を呼んでいる。「偉大なニッポン人」と少しでも言葉を交わそうと、「コンニチハ」「アリガトウ」と日本語の練習をしてスタンドを訪れた英国人ファンも多かった、と書き添えておこう。
ロンドンジャパニーズのメンバーのひとり、反町雄輔さんは「日本人サポーターの応援のパワーは素晴らしいと賞賛された」とした上で「南ア戦の試合後と同じように、スコットランドサポーターと肩を抱き、声を掛け合う時間が続いた」と話している。
日本代表の頑張りとそれを懸命に後押しする日本人サポーターの姿は多くの国で報じられているようだ。いままさに「ニッポンの素晴らしさ」がラグビーW杯というコンテンツを通じて世界に向けて宣伝されている。「2019年大会の到来まで待てないよ!」と、英国や豪州、ニュージーランドといったラグビー王国の人々が訪日することを願ってやまない。そのためにも、日本でのラグビーに対する理解がさらに広まることを期待したい。
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