ヘドバンする衝撃の「赤べこ」一体なぜ誕生したか 「ヘッドホンべこ」で常識を覆す野沢民芸の挑戦

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「張り子は成形したあと、普通は製品全体の凸凹を削る工程をしなければきれいな表面にならない場合があるのですが、削るとその跡がどうしても表面に残ってしまいます。

それが野沢民芸の張り子の場合は成形後の全体を削る加工がないきれいな表面の生地をつくりあげているので、完成品になったときの商品の仕上がりがとてもきれいなのです」

伝統的な会津張り子だけでなく、野沢民芸は古い民芸品のイメージを覆すユーモア溢れるアイデア張り子商品を連発。現代の住環境にも馴染みやすく、幅広い世代に刺さるリデザインが施されたべこを生み出し続けてきた。

そんな進化系べこの誕生のきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災だったという。

「大変な被害に遭う方々が同じ県にいる一方で、会津では大きな直接的被害はなく、翌日からはいつも通りに工房で仕事ができました。そこから『電気・水道も灯油もきているという環境で、ただ漫然と仕事していいのか? 私たちにできることは何かないのか』と毎日のように考えるようになったんです」

革新的な赤べこを生み出してきた企業コラボ

白べこ
オフホワイトの美しい白べこ (写真提供:野沢民芸)

そんな折、早川氏の元に転がり込んできたのが、アーティストやクリエイターが発起人の「赤べこプロジェクト」という東北復興支援プロジェクトだ。

「著名なアーティストの方々がオリジナル赤べこをデザインし、全国を巡回展示して福島を応援するという展覧会で、アーティストが手がける素材と同時開催されるワークショップなどで野沢民芸の『白べこ』を使いたいとお声がけくださったんです。それが縁で私もアーティストのひとりとして、波の文様をあしらった『青海波(せいがいは)べこ』を制作させていただきました」

青海波べこ以降、野沢民芸のべこに注目が集まるようになり、アパレルブランド「アナ スイ」、アクセサリー、アパレルブランド「コーエン」、プロ野球チーム「東北楽天ゴールデンイーグルス」、そして百貨店の「三越伊勢丹」など、幅広い業界の企業ブランドやイベントとコラボ。斬新なアイデアとデザインをべこに落とし込んできた。

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