サントリー、世界を狙う新浪社長の"不満" 電撃的なトップ交代から1年が経過

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蒸留酒で世界のトップを目指そうという中、新浪氏は、「純血(生え抜き社員のみ)だと、グローバル企業としては間違いなくうまくいかない」と言い切っている。

その言葉どおりに、新設したグローバル事業推進本部長には、ヴィンセント・アンブロジーノ氏が就任した。同氏は、米ペプシコのカナダ法人CFO(最高財務責任者)を経て、2013年にビーム社に入り、直近はCFOを務めていた。しかし今年4月、新浪氏がサントリーHDに引き入れて、執行役員に就いたばかり。従来の経営企画と財務の副本部長という役職から、半年足らずで本部長へと昇格。これは社内で驚きをもって受け止められた。

「外部の人材も登用してきたい」

新浪社長の主導で外部人材の登用も増えそうだ(尾形文繁)

また、サントリー食品インターナショナルでグローバル事業推進部長を務め、海外企業との提携も多く手がけた小野真紀子氏が、9月からサントリーHDに移り、グローバル人事部の部長に就いた。5月時点でサントリーHDから17人の社員がビームサントリーに出向しており、国内外の人事交流はさらに活発化しそうだ。それだけでなく、7月の本誌インタビューで新浪氏は、「今後は外部の人材も登用していきたい。事業投資経験のある商社出身者なんかもいい」と語っている。

サントリーHDの2015年度中間期は、売上高、営業利益とも2ケタ増で、過去最高を更新した。だが、2020年に売上高4兆円(2014年度2.45兆円)という目標の達成には、既存事業の拡大だけでは難しい。それだけに、新たなM&Aに動くことも予想される。さらなる成長を続けて、世界の食品大手に伍する企業へと変貌できるのか。就任2年目に入り、新浪改革は間違いなく加速するはずだ。

   (「週刊東洋経済」2015年10月3日号「核心リポート05」を転載)

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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