猛威を振るうサムスン 日本の牙城・電子部品業界もついに陥落
セラコン市場(約6500億円)における超小型品は数量ベースで現状2割程度を占めるが、スマホの普及に伴って、今後数年間で年率2割以上の成長が見込まれる。デジタル家電向けの汎用品化によって採算が悪化する中、超小型品はメーカーにとって利益の源泉である。
ただ、セラコンは小さくなればなるほど高度な技術が求められるうえ、スマホ向けには安定かつ大量供給する生産技術も求められる。その市場を現在牛耳っているのが2社。7割以上のシェアを誇り、アップルのアイフォーンやサムスン電子のギャラクシーなど主要なスマホのほとんどで採用実績を持つ村田製作所。そして、もう一社がSEMCOなのだ。
「SEMCOは村田製作所やTDKから技術者を引き抜いた」と業界関係者は口をそろえる。2年で数千万円とも1億円ともうわさされる好条件を提示し、日本の大手メーカーが数十年かけて培った技術を短期間で身につけたのである。
中国勢の安値攻勢で汎用品は稼げない
一方で、日本の下位メーカーは今や見る影もない。かつてシェア2位を誇ったTDKは超小型品の開発に手こずったうえ、生産体制の不備による納期遅れが原因で顧客離れが起こったといわれる。超小型品の開発には成功したのに大量受注が入らない太陽誘電は、「採算重視の開発で、結果的に流れに乗り遅れた」と反省する。
首位の村田製作所にも“勝ち組”の余裕はない。顧客の一つであるサムスン電子はスマホのセラコンについて、半数以上をSEMCOから、残りの大半をを村田製作所から調達するとみられる。が、それ以外の製品で今後、村田製作所を重用する理由は乏しい。