日本製が想像以上に活躍「アイルランド」の鉄道旅 車両は輸入頼みでも「世界競争力」は堂々4位
スイスの有力ビジネススクールの国際経営開発研究所が発表した世界競争力ランキング(2024年)では対象の67カ国中1位シンガポール、2位スイス、3位デンマーク、そして4位がアイルランドである(日本は38位)。この調査は、政治、ビジネスの環境、経済力、インフラなどを総合的に評価している。
前述の通り、アイルランドの鉄道車両は輸入に頼っている。「他国のものを購入したほうが手っ取り早い」ということであろう。かといって、鉱物資源や農産物などの輸出品が豊富ということでもない。ではアイルランドはどうやって稼いでいるのだろうか。筆者は経済の知識はないが、交通の分野でもアイルランドには長けた部分がある。
アイルランドにはヨーロッパ最大の格安航空会社ライアンエアーがある。日本的に考えると、アイルランドの航空会社なので、アイルランド国内とアイルランド発着の国際線を運航していそうだが、実際はアイルランドと関係なくヨーロッパ中を飛び回り、路線網は北アフリカや中東にまで広がっている。EU経済統合で、域内であれば、EUの航空会社は国籍を問わずどこでも自由に飛べるルールを活かして成長した。
300機以上のボーイング737を飛ばし、イギリスのEU離脱後も、イギリスにライアンエアーUKを設立、路線網拡大のためポーランドやマルタにも子会社設立、オーストリアでは既存航空会社買収などで、現在はグループ全体で600機近くを運航している。
運賃は、物価高のヨーロッパにおいて驚くほど低価格で、たいていの区間で空港まで、空港からのアクセス交通のほうが高くなるくらいである。ただし、日本からの乗り継ぎなどで利用する際は注意が必要で、どんな理由があろうとも遅延時のケアーなどは一切ない。
ヨーロッパ内では、地球温暖化対策のため「鉄道で行ける範囲はなるべく鉄道で」という対策が取られているが、現実的には、運賃面で鉄道はライアンエアーなどの格安航空会社に対抗できないというジレンマがあるほどである。
航空機リース業も盛ん
航空機のリースも盛んである。日本へ乗り入れていたイタリアのアリタリア航空は破綻し、現在はITAエアウェイズとなったが、日本便に使われているエアバス機はアイルランドのリース会社から調達されている。機体にはイタリア国籍を表す記号ではなく、アイルランド国籍を表す記号が記されている。破綻した航空会社を引き継いだ会社でも最新鋭機を運航できるのは、機体購入ではなくリースにしているという部分が大きい。
日本は「ものづくり大国」などといわれることがあるが、いっぽうで国際力は劣っていて、そういったことが起因して、前述の世界競争力ランキングで38位と振るわないのであろう。アイルランドは日本にないものを持ち合わせていると感じる。
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