日本製が想像以上に活躍「アイルランド」の鉄道旅 車両は輸入頼みでも「世界競争力」は堂々4位

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首都ダブリンの市内交通は、「リープ・カード」というIC乗車券利用が一般的であるが、「リープ・ビジター・カード」という乗り放題カードもある。「ビジター」とあるので観光客を意識したパスである。24時間、72時間、7日の3種があり、トラム、先述の近郊電車DART、路線バスが乗り放題となる。購入場所はコンビニが一般的だ。

筆者は7日券33ユーロ(5280円)を利用した。空港バスは利用できないが、路線バスには空港路線もあるので、乗り放題エリアには空港も含まれる。空港到着時に空港内のコンビニで購入したので、空港から市内へ向かう時点から利用できた。1日分の交通費が日本円で1000円に満たないので、お得なカードであった。このカードがあれば、ダブリンエリアの移動は万全である。イギリス方面へ向かう港への路線バスにも有効だ。

ヨーロッパは全般に宿泊費や食費は高額であるが、交通費は日本よりむしろ安く感じる国が多い。前述の「Day Return」切符、「リープ・ビジター・カード」などをうまく利用すれば、公共交通機関を利用した旅は意外なほど安上がりとなる。

いっぽうで、同じヨーロッパでも高福祉国家の北欧ではシニア料金が充実していたが、アイルランドでは、少なくとも券売機を操作した範囲にはシニア世代向けの大幅割引はなく、国によって高齢者優遇の度合いが異なるようである。

IC乗車券「リープ・カード」もうまくできていて、観光客にもおすすめである。ICカードに、1日に引き落とされる金額の上限があることは2024年7月2日付記事(将来の北海道?「ニュージーランド」鉄道の実態)で紹介したが、アイルランドでも同じ仕組みであった。1日の上限だけでなく、1週間の上限、1日の上限も平日と週末で金額が異なるなど、何かと利用者本位にできていた。日本のように乗った区間、すべてがまるまるいくらでも引き落とされるという仕組みでしかないのは、世界では少数派なのではないかと感じる。

フェリーと列車を乗り継いでロンドンへも

鉄道ファン的に興味深いルートもあり、首都ダブリンからフェリーで対岸のイギリス・ウェールズのホーリーヘッドに渡ることができる。乗船時間は3時間なのでかつての青函連絡船より少し短い。ホーリーヘッドでは港と駅が隣接し、マンチェスターやロンドン方面行きの列車が出る。

ダブリンを朝出発、フェリー、ロンドン行き特急列車と乗り継ぐと夕方にはロンドンのユーストン駅に到着する。この特急列車は日立製の電車である。ホーリーヘッドへの路線は非電化なので、パンタグラフを下げてエンジン発電モーター駆動で出発し、電化区間へ入るとパンタグラフからの集電で走行する。

日本では味わえなくなったフェリーと列車を乗り継ぐ旅ができ、最新技術の日本製車両という部分も見逃せないだろう。

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