「参考図」に描かれた線路の配置図と説明書きを見た限りでは、当初は「暫定ルート」と「本設ルート」の2段階で整備を進める考えだったようだ。
(2)山手線の線路を新大久保駅とその前後のみ西側に移転
(3)移転によって空いた旧・山手線の線路を使用する形で西武新宿線を山手貨物線の西側に移転(本設ルート)
幻の貨物駅が当初計画に影響か
つまり、当面は山手貨物線の東側に線路を整備するが、最終的には新大久保駅とその前後の部分のみ、西から山手線(新設)~西武新宿線(移転前の山手線の線路を使用)~山手貨物線の順に並べ、国鉄線が西武線を挟み込む格好にすることが考えられていたらしい。西武新宿駅が本来は仮設の駅だったというだけでなく、山手貨物線の東側を通るルート自体、当初の計画では仮のルートだったのだ。
このような複雑な工程と線路配置が考えられた正確な理由は不明だが、おそらくは「参考図」にも記されている、国鉄「戸山原貨物駅」の計画に配慮したのだろう。
新大久保~高田馬場間の東側(戸山)には、かつて陸軍の射撃場などがあり、山手貨物線から分岐する軍用の引き込み線も設けられていた。戸山原貨物駅は遅くとも昭和初期には構想されていたようで、「参考図」を見る限りでは射撃場とその周辺の土地に設置することが考えられていたようだ。
しかし、西武新宿線の線路を山手貨物線の東側に沿って建設すると、山手貨物線と戸山原貨物駅の予定地が、西武新宿線の線路で遮断されてしまう。そこで、とりあえず西武新宿線を山手貨物線の東側に整備するものの、貨物駅の整備が本格化した段階で西武新宿線の線路を移設し、西武新宿線による遮断を解消しようとしたのではないだろうか。
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