フジテレビ問題の解決は完全な世代交代しかない 「10年間の業績不振」に責任を取ってこなかった

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さらに鷹野氏は、大手企業の横並び意識を踏まえると「広告主は誰かの一声や動きを待っている気がします。大義名分のあるきっかけが必要です」とも述べた。

「大義名分のあるきっかけ」の言葉は象徴的だ。もちろん第三者委員会でどんな調査結果が出るかが重要だが、それを受けて今後の対策を出せたとしても、広告主が「それならフジテレビをもう一度信頼しよう」と思えるきっかけを誰かが作る必要があるのではないか。

きっかけを作れるのは当然、フジテレビの最高権力者と言える人物のはずだ。このところワイドショーや週刊誌でも急浮上している、取締役相談役の日枝久氏だろう。

取締役が付く相談役というのも不思議な役職だが、代表権はないし相談役が大きな権力を握るのは奇妙に感じる。だが放送業界の人なら誰でも、フジテレビの最高権力者はいまだに日枝氏だと答えるはずだ。

ただ、経営の陣頭指揮を執っているわけではなく、その権力はもっぱら人事に発揮されているらしい。あるフジテレビ関係者は日枝氏をこう評した。

「フジテレビとフジ・メディア・ホールディングス(HD)の取締役、グループの主要企業社長、関係の深い系列局の社長はすべて日枝さんの独断か、日枝さんのお許しをもらった人です。彼は人事しか考えていない」

社長が目まぐるしく交代している

前回の記事では、10年間でフジテレビの売上高は急落し、トップの座から転落したと述べた。

各キー局決算資料 売上推移
(画像:各キー局決算資料より筆者作成)

その間、フジテレビの社長は目まぐるしく交代している。亀山千広氏(2013年〜2017年)、宮内正喜氏(2017年〜2019年)、遠藤龍之介氏(2019年〜2021年)、金光修氏(2021年〜2022年)、港浩一氏(2022年〜2025年)だ。亀山氏を除き、上場企業グループの中核会社の社長としては短すぎではないだろうか。

「金光さんは100人リストラで日枝さんのお怒りを買い、わずか1年でフジ・メディアHD社長に塩漬けされました」(同)

フジテレビは2022年3月に退職金を大幅に積み増す早期退職制度を導入。有名プロデューサーも応募したと話題になったが、自分のお気に入りまで辞めてしまい日枝氏は怒ったらしい。業績不振の中、やるべきことをやった金光氏は1年で港氏に交代している。

港氏は「楽しくなければテレビじゃない」の復活を使命に負い、実際に2023年3月の改編発表会で「フジテレビルネサンス」をスローガンに掲げた。懐古的なメッセージにシラけたことを覚えている。

せわしなく社長を交代させた揚げ句、まっとうな経営に取り組もうとした金光氏は1年で降ろし、港氏に時計を巻き戻させようとした。今回の不祥事は、こうした行き当たりばったりの社長人事の末の必然ではないか。業績不振から立ち直れないことも含めて、日枝氏の責任が問われる。

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