【産業天気図・工作機械】外需絶好調、自動車向けも年後半から本格浮上
日本工作機械工業会の中村健一会長の自信は全く揺るがない。「企業業績はしっかりしている。上海、ニューヨーク発の株安は大きな問題ではない」。07年度前半も後半も、工作機械業界の上には、抜けるような青空が広がっている。
今年2月の受注額は、強気の中村会長さえ「予想していなかった。ビックリした」と言うほどの数字になった。単月1314億円は、05年12月の1286億円を上回る史上最高額。前年同月比伸び率も11%と、8カ月ぶりに2ケタに乗せた。好調を牽引するのは、前年比29%増の外需。とりわけ欧州向けは55%増と突出した伸びになった。もちろんユーロ高の“支援”が大きいが、「それだけではない」と中村会長。「日本製は船賃をかけ、納期も長く、現地メーカーに比べサービス体制も十分ではない。それでも日本製が売れているのは、生産性の高さが評価されているから。逆に欧州メーカーは低価格品にシフトし、自ら体力を弱めている」。
2月好調のもう一つの要因は、これまで低迷していた自動車向けの受注が前年比29%増と大きなプラスに転じたこと。おかげで内需全体も3カ月ぶりに前年同月を上回った。だが、中村会長は2月の数字を以て、自動車向けが本格反転したとは考えていない。「動き出したのは長納期の一番バッターだけ。すぐさま後が続くとは思わない。自動車向けが本格的に動き出すのは今年後半から」。工作機械業界にとっても、むしろ、そのほうが好都合だ。現在、外需や建機など一般機械向け中心に、07年度前半の仕事量はほぼ確保している。年後半のリスクとして一般機械向けの減速や円高転換が考えられるが、その時に、延びに延びていた国内自動車各社からの受注が本格化すれば、年度後半の高操業も保証されることになる。
昨年、NC(数値制御)装置の世界トップ企業、ファナック<6954.東証>がサーボモータの新工場を竣工させたのを皮切りに、工作機械業界「御三家」の森精機製作所<6141.東証>、オークマ<6103.東証>(もう1社は非上場のヤマザキマザック)も続々と大規模な設備投資を断行。一部で需給バランスの悪化が懸念されていたが、これらの新工場は立ち上がりからフル操業という理想的な状況になる。ファナック、オークマは06年度に過去最高純益を更新する見通しだが、07年度も連続更新する可能性が高まっている。
【梅沢正邦記者】
(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部
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