「JALの不祥事続発」、元社外役員が根本原因を問う 「パイロットの飲酒」など問題はなぜ繰り返される?

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実は2018年12月にJALはパイロットの飲酒問題で事業改善命令を受けていた。経営陣は報酬減額処分とし、同年4月から社長だった赤坂氏もその対象となった。

そして2019年10月、JALは飲酒問題で再び事業改善命令を受けた。赤坂氏は取締役会で再度の報酬カットを提案した。自己満足になってはいないかとそれに反対したのが八田氏だ。

「再度の報酬カットには反対だ。危機感が当事者に伝わっていないことが問題で、経営サイドの取り組みに課題があったのではないか」と八田氏は述べた。最終的には自身も監査役報酬カットを提案し、報酬10%を自主返上した。

コロナ禍で航空各社が減便をしていた2020年〜2022年を除くと、2018年以降のJALは毎年のように国交省から処分を受けている。まさに異常事態だ。八田氏は「破綻前のように各部門がバラバラになっており、内部統制や管理体制に目詰まりが起きている」と指摘する。

この1月にJALが国交省に提出した報告書には、八田氏が指摘するJALの課題が多く記されている。

JALで続く安全トラブル

当事者意識を持って判断できず

昨年12月1日の774便での飲酒問題では、副機長が自身で行った自主検査でアルコールが検知されていた。そのため大量の水を飲みながら1時間以上かけて数値がゼロになるまで自主検査を行う。最終的に検査はクリアするが、飲み過ぎた水を機内で嘔吐して客室乗務員らに不安を覚えさせる。

こうした状況は、オペレーション本部の運航判断責任者に共有されていた。責任者はオペレーション本部長に運航が遅れている件を報告したが、嘔吐した事実については伝えていなかった。オペレーション本部長は便の離陸後に嘔吐した事実を把握したとしている。

そもそも出勤後にアルコールを検知したら乗務させてはならない。ところが、オペレーション本部長も運航判断責任者もアルコール検査に関する知識が不足していたため乗務可能と判断してしまった。

一方、運航本部長は、オペレーション本部長から「自主検査でアルコールを検知したパイロットがいた」と報告を受けたが、それが出勤後の検査だったことや再検査に時間がかかっていることは伝えられなかった。

運航本部長は、オペレーション本部が自主検査の結果を知っていることを不自然に感じ、パイロットを管理する乗員サポート部に連絡している。だが、「自主的な検査で数値が出たものの、再検査して合格し乗務前検査にも合格したので問題ない」と説明され、それを鵜呑みにしてしまった。

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